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2025.12.10
塩ビ床材に用いられる可塑剤がEUで規制される理由
監修
インテリアコーディネーター/宅地建物取引士岩渕亜希子
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
最近、建築・インテリアの現場でも健康や環境に配慮した工法や素材が注目を集めています。その中でも特に「可塑剤フリー」のキーワードは昨今のトレンドとして挙げられるでしょう。
そもそも「可塑剤」とは何でしょうか?なぜ床材に用いられており、昨今健康面などの問題から規制を受け、そしてなぜ可塑剤フリーの床材が注目を浴びているのでしょうか?
本稿では、塩ビ床材(PVCフロア)における可塑剤の役割と課題を、分かりやすく解説していきます。
可塑剤とは
可塑剤(plasticizer)とは、硬い塩化ビニル樹脂(PVC)を柔らかくする添加剤のことです。PVCはそのままだと硬くて脆い素材のため建築資材として使い物になりませんが、可塑剤を加えることで柔軟性や加工性を高めることが可能です。
塩ビ床材と可塑剤は切っても切れない関係にあり、可塑剤を用いて生成することで初めて塩ビ床材は我々の住環境に適した素材に生まれ変わるわけです。
可塑剤(Plasticizer)について
| 名称(日本語) | 可塑剤(かそざい) |
| 英語 | Plasticizer |
| 主な役割 | プラスチックを「柔らかく」「しなやかに」する添加剤 |
| 使われる素材 |
主に塩化ビニル樹脂(PVC) ※床材、壁紙、電線、玩具など |
| 仕組み | 樹脂の分子のすき間に入りこみ、 分子同士の結びつきをゆるめて柔軟にする |
| 代表的な種類 |
◆フタル酸系可塑剤 (DEHP, DINPなど) ※EUで多くが規制対象 ◆非フタル酸系可塑剤 (DOTP, DINCH, ATBCなど) |
| メリット |
・製品が割れにくくなる ・加工しやすくなる ・柔軟にすることができる |
| デメリット |
・一部は環境ホルモン作用が指摘されている (特にフタル酸系) ・揮発・溶出のリスクがある (長期使用で劣化や揮発) |
可塑剤の問題点
このように、塩ビ系フロアの製造に欠かせない可塑剤の中で問題視されることが多いの可塑剤ですが、環境・健康面での懸念が報告されています(※必ずしも人体への影響を証明するものではない)
まず、可塑剤の中でもいくつかの種類があることに注意してください。
特にやり玉に挙げられているのが「フタル酸系可塑剤(DEHP, DBPなど)」です。これらは生殖毒性・内分泌かく乱性(精子形成に悪影響)、発がん性があると言われており、EUでは使用に規制が設けられるようになりました。

そのため、EUでは「非フタル酸系可塑剤」への移行が2020年以降積極的に進められています。とはいえ、可塑剤それ自体が化学物質であることに変わりはないため、長期的な人体への影響は検証中です。そのため、一部のメーカーはそもそも「非フタル酸系可塑剤」でさえ成分として含まない床材を開発する道を模索するようになりました。
もっとも、PVCと可塑剤は切っても切れない関係にあるため、可塑剤を全く用いない床材を使用するためには根本的な技術のブレイクスルーが必要となります。そこで登場するのが、ドイツの研究所などが積極的に開発を進めた「オレフィン系」の床材です。
可塑剤フリーの時代へ
哺乳瓶や牛乳パックなど、より我々の身近に用いられることで知られる「PP」といったオレフィン系素材を活用した建築素材は、既にドイツを始めとする健康先進国で用いられています。


ドイツの大手床材メーカーParadorの開発したModular Oneは可塑剤フリー、ホルムアルデヒドフリーを標榜した先進的な床材であり、日本でも既に施工が進められています。

住宅は勿論、ジムやスポーツ施設といった肌で直に触れるような環境においても用いられるModular Oneシリーズは、健康面への配慮だけでなく「木質本物の見た目」「100%防水」等美的側面や機能面にもこだわった正にオールラウンダーの床材と言えるでしょう。

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