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2024.6.27
【徹底解説】スペイン流インテリアデザイン・間取りの特徴
監修
インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー/キッチンスペシャリスト猿渡 奈央
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
ヨーロッパの南西部に位置し、ジブラルタル海峡を挟んでアフリカ大陸と隣接するスペイン。地理的に重要な場所にあり、ヨーロッパの南の玄関口としてさまざまな文化の交差点となってきた歴史があります。古代ローマやギリシャ、イスラム王朝やアフリカなどから多様な影響を受けつつ、独自の文化を形成してきました。
建築・インテリア分野でも、過去の支配者や近隣の国々の特色が反映され、他国では見られないような独特なスタイルが花開いています。今回は、そんな同国のインテリアデザインについて、人々の暮らしぶりや国民性を交えながら解説したいと思います。
目次
グエル公園から見たバルセロナの街並み(参照元:AdobeStock)
スペイン人のインテリアに対する姿勢
スペイン人には世間的に「明るく情熱的」なイメージが定着しており、インテリアにもその傾向が見て取れますが、これはスペインの気候と大いに関連性があります。地域によって温暖な地中海性気候や海洋性気候、乾燥した大陸性気候と違いはあるものの、全体的に日照時間が長く、夏はカラっとした暑さが続くのが特徴です。
太陽光は免疫機能の強化、うつ病のリスク軽減、睡眠の質改善など、身体的にも精神的にも健全な状態を保つのに大いに有効なため、この気候がスペインの人々リラックスした雰囲気や、細かいことを気にしないおおらかな性格を育む一因になっていると考えられます。スペイン人が自然光を重視していることは住宅の内装を見ても明らかで、光を家の隅々まで行き渡らせることができる大きな窓やガラスドアを備えた住宅が好まれています。
降り注ぐ太陽の日差しと青い海、テラコッタレンガの色がスペインのイメージ(参照元:AdobeStock)
社交的で人間関係を大切にするスペイン人は、日常生活の中で頻繁に友人・知人を集めて共に食事や会話を楽しみます。家族のつながりも強く、多世代家族が同居することも珍しくありません。集まりにはカフェやレストランを利用することもありますが、自宅に人を招くことがポピュラーであり、リビング・ダイニング・キッチンエリアは、ゲストにも快適かつ機能的であることが求められます。
家族や友人との時間を大切にするスペインの人々(参照元:AdobeStock)
スペインの家の特徴・間取り
夏は暑く乾燥する気候のため、涼感のある素材や、視覚的に涼しげなカラーパレットが好んで使われます。日差しを反射する白い漆喰壁、タイルや石材の床、ラタンや木製といった自然素材の家具などは、人々が快適に過ごすために考えられ、選ばれてきた知恵の結晶です。また、タイルや陶器の装飾、カラフルなテキスタイル使いなどは、人々の陽気な気質が反映された、スペインらしい特徴のひとつ。スタッコ壁、赤い粘土瓦の屋根、アーチ型の開口部、ロートアイアン(鋳鉄)アート、木の梁をあらわにした天井、テラコッタタイルなども伝統的なスペイン建築・インテリアに欠かせないアイテムですが、これらを使った住宅はスペインに限らず、“スパニッシュリヴァイヴァル”として20世紀初頭のアメリカでも人気を博しました。
ロートアイアンが施されたエントランス(参照元:AdobeStock)
リビング
スペインで人気なのは、家族やゲストとのコミュニケーションに利点が多く、採光や通風の面でも優れたオープンレイアウトです。スペイン建築の特徴でもある“梁が見える造り”は、装飾的意味合いであると同時に、開放感や部屋を広く見せる視覚効果を期待するものでもあります。多くの場合リビングに面したパティオ(中庭)やバルコニーは住宅の屋内外をつなぐ役割を持つスペースで、家具や観葉植物を置き、第二のリビングとしてリフレッシュや社交の場として利用するのがスペイン流です。
梁を出した天井部とアーチ型の開口部が特徴的なリビングルーム(参照元:AdobeStock)
子供部屋
子供部屋は、家の中でもひときわ明るく、カラフルな装飾が施される空間です。子供の学習や創造性を促進することが重視され、学習机とは別に設置されたクラフトエリアや、壁に取り付けられたホワイトボードなど、子供たちが自由にクリエイティビティを発揮できるスペースが確保されています。多くの場合、子供部屋はリビングやキッチンに近い場所に設置されており、家族がいつでも手助けでき、コミュニケーションが取りやすいよう工夫されています。
スペインの子供部屋の一例(参照元:AdobeStock)
キッチン
リビングの項目でも述べたとおり、キッチンはリビング・ダイニングと一体化したオープンプランが好まれています。交流好きなスペイン人らしく、カウンターやアイランドが設置され、家族やゲストとコミュニケーションを取りながら料理ができるスタイルが一般的です。キッチンの壁や床を彩るのは、スペイン特有の美しい模様・色彩を用いたタイル。大きな窓から差し込む自然光、木製キャビネットや石材カウンタートップといった自然素材のアイテムが、キッチンにあたたかな雰囲気をもたらします。
スペインのオープンキッチンの一例(参照元:AdobeStock)
間取り
家族を生活の中心に考えるスペインでは、家族とコミュニケーションを取りやすい間取りが重視されます。パティオを持つ戸建て住宅ではそこを取り囲むような部屋のレイアウトも多く見られますが、これには採光や風通しを良くする目的の他、どの部屋からも家族が一か所に集まりやすいやすいというメリットもあります。一方寝室は家の中の静かな方角に配置され、特にマスターベッドルームは直接アクセスできる専用のバスルームを備えるなど、プライバシーが確保されています。
家族や友人と、テラスや中庭でバーベキューやガーデンパーティーを楽しむのがスペイン流(参照元:AdobeStock)
スペイン的インテリアデザイン
最後に、スペインで定番の2つのインテリアスタイルを紹介します。スペインの伝統的要素とトレンドを掛け合わせたハイブリットスタイルが主流で、自国の伝統や文化を大切に考えるスペイン人のメンタリティがトレンドにも反映されています。
地中海スタイル
ひとくちに地中海と言ってもカタルーニャ地方、アンダルシア地方、バレンシア地方など地域別に特色がありますが、共通した特徴として、自然光を重視したデザイン、テラコッタや石材の床、木材や籐といった自然素材、キッチンやバスルームのタイル装飾、装飾的なアイアンワークなどが挙げられます。
テラコッタフロアとアウトドアスペースとの一体感が伝統的な地中海スタイル(参照元:AdobeStock)
【パラドー社のおすすめ床材】
Dolomite white(ドロミテホワイト)
高貴な鉱石として知られるドロマイトをモチーフにした床材。石材タイルは、自然素材を愛する地中海スタイルと相性抜群。定番のテラコッタタイルに比べ、より洗練されたスタイリッシュな印象を空間全体に与えてくれます。
Oak Explorer caramel(オークエクスプローラキャラメル)
オーク材を焦がしたような深みのある味わいの意匠性高い床材は、地中海スタイルで好まれるダークブラウンの家具ともマッチ。個性の強いデザインタイルとも相性が良い、パラドー社が誇るオールラウンダーです。
モダンスパニッシュスタイル
スペイン的要素を残しつつ、モダンなエッセンスを加えてエレガントに仕上げたスタイルです。白やグレーのモノトーンにベージュを中心としたニュートラルカラーを加えたカラーパレットで、クリーンかつアーシーな雰囲気を合わせ持ちます。家具は現代的で機能性の高いシンプルなものを中心に用いつつ、凝ったデザインのアイテム・素材をスパイス的に加えることで個性を演出します。洗練された雰囲気を持ちつつ居心地の良い空間が、スペインの人々に好まれる所以です。
アーチ型の下がり壁などスペインらしい要素を残しつつ、モダンに仕上げたスタイリッシュな空間(参照元:AdobeStock)
【パラドー社のおすすめ床材】
Marble Eos white(マーブルイオスホワイト)
ドイツの厳しい基準をクリアしたエコ素材のみを使用したModular ONE(モジュラーワン)シリーズ。見る人に優雅な印象を与える大理石モチーフの床材は、自然の表情を残しつつ、モダンなインテリアデザインともマッチし、エレガントな空間を演出します。
Oak Studioline sanded(オークスタジオラインサンデッド)
オークの持つ自然な表情を活かしたシームレスな曲線美を空間に描く、上品な一品。節目や白太のない厳選されたオーク材をモチーフにし、落ち着いた優しい印象を室内にもたらします。