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    2024.7.1

    【徹底解説】スウェーデン流インテリアデザイン・間取りの特徴

    監修

    インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー/キッチンスペシャリスト猿渡 奈央

    海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。

    北ヨーロッパ・スカンジナビア半島の東側に位置するスウェーデン。高福祉国家として知られ、国連機関(UN Sustainable Development Solutions Network)が発表する世界幸福度レポート(World Happiness Report)でランキング上位の常連国であることから、「住みやすい国」、「QOLが高い国」というイメージが定着しています。インテリアで言えば家具メーカーのIKEA、アパレルで言えば服飾メーカーのH&Mなど、デザイン分野で世界最大/最大級規模の会社の本拠地としても有名なため、「デザイン王国」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。

    今回はそんなスウェーデンのインテリアデザインについて、人々の暮らしぶりや国民性を交えながら解説したいと思います。

    スウェーデンの首都・ストックホルムの家並み(参照元:AdobeStock

    スウェーデン人のインテリアに対する姿勢

    自然と調和するように暮らすことを好むスウェーデンの人々。国民の大半は南部の都市部に暮らしていますが、週末や休暇ごとに郊外に足を伸ばして新鮮な空気に触れ、豊かな自然の中で運動やハイキングを楽しむことが日常の一部になっています。その雄大な森林には希少種の動植物が多く生息し、環境保護庁によって国立公園や自然保護区として管理されています。

    人間の暮らしに自然を取り込むというよりは、自然の中に人間が寄り添うように生活するスウェーデン人の環境意識は非常に高く、消耗品に限らず、建築・インテリア分野でも持続可能性や環境負荷に配慮した素材の選択が当然となっているようです。スウェーデンの住宅には木材が多く使われますが、環境負荷を軽減するため地元で調達された材の使用が推奨されています。スウェーデンのような寒冷地でゆっくりと育った木は年輪の間隔が狭く、堅さと粘り強さを併せ持つため豪雪地域の住居建材として適していることも、地産地消を後押しする要因となっています。

    自然に寄り添うようなスウェーデンの住まい(参照元:AdobeStock

    スウェーデンの家の特徴・間取り

    面積は日本の約1.2倍ながら人口は約12分の1(2022年)と、圧倒的に人口密度が低いスウェーデン。しかし国土の7分の1が北極圏内にあり、人口の約90%は南半分に居住しているという居住実態のためか、一般的に多いのは100平米以下のコンパクトな住まいです。

    壮大な自然が身近にある環境で冬は厳しい寒さにさらされるため、屋内の温度・湿度をいかに保つかが快適な家づくりのカギ。冬季の暖房効率のため、家の断熱性・気密性が特に重視されます。暖房で暖めた屋内の空気を逃がさず、外からの冷気が入り込まないよう、住宅の接続部には徹底的な対策が施されています。断熱・遮音性が高い多層構造の玄関ドア、結露の発生しない三層ガラスサッシなどで密閉性を高める一方、空気を滞留させないための空気循環・換気装置が装備されるなど、寒冷地ならではの工夫が随所に施されています。また、外装は積雪が溜まらないよう、勾配の強い大屋根が標準デザインとなっています。

    ファールンレッドの外装パネルが特徴的なスウェーデンの伝統的住宅(参照元:AdobeStock

    リビング

    スウェーデン独自の文化として、「フィーカ」(Fika)というコーヒーブレイクがあります。コーヒー/紅茶とお菓子を囲み、家族や同僚とリラックスした時間を楽しむこの習慣は単なる休憩に止まらない社交的な意味合いが強く、人々の生活になくてはならないものとなっています。自宅でフィーカを楽しむ場所はもちろんリビング・ダイニングスペースであり、その快適性がスウェーデンでの家づくりの最優先事項のひとつと言えます。家の中心にある、もっとも快適かつ日当たりが良い場所が確保されるので、各個室には家の中心にあるこのエリアを通り抜けて行くというのが典型的な間取りです。

    写真のコーディネートでは、左右の大きな窓から自然光がさんさんと差し込む明るい空間に、アースカラーの壁と木製家具・建具・フローリングを合わせ、屋内に居ながらにして自然を感じられるスウェーデンらしいコーディネートになっています。

    フィーカが楽しくなる明るいリビングルーム(参照元:AdobeStock

    子供部屋

    シンプルでクリーンなデザインを好む傾向は、子供部屋にも見られます。多くの物を置かず、飽きの来ないデザインで長持ちする素材の家具、余白を大切にしたコーディネートは、子供たちのクリエイティビティを掻き立ててくれます。素材で好まれるのはやはり木材で、子供の健康と環境保護の両面に配慮した塗料や繊維が選ばれます。

    カラーパレットは白やナチュラル、パステルカラーなど、部屋全体が明るく広く感じられるような優しい色の組み合わせ。居住面積がそれほど広くないスウェーデンでは、子供の成長に合わせて組み合わせや配置を変化させることができる、いわゆる「一緒に成長する家具」が人気です。保護者の懐にやさしいだけでなく、使えなくなった家具の廃棄削減にもつながるため、環境保護の観点からもスウェーデン人のニーズに合っているのです。

    スウェーデンの子供部屋の一例(参照元:AdobeStock

    キッチン

    リビングと共に、家の中心的ポジションを占めるスウェーデンのキッチンエリア。玄関を抜けて最初に足を踏み入れるスペースがキッチンでその奥がリビング、という配置は、スウェーデンではよく遭遇する間取りです。シンプルで機能的ながらも、木材や石材など自然素材を多く用いることであたたかみも感じられるデザインが好まれています。

    オープンプランでコミュニケーションの取りやすさと空間の広がりを重視しつつ、収納を充実させることで煩雑に見えないよう工夫なされているスウェーデンのキッチン。冷蔵庫や食洗機などの家電は、収納と同じ扉を取り付けた組み込み式にすることで統一感のある見た目を保ち、エリア全体の一体感を高めたデザインが定番です。

    スウェーデンのキッチンの一例(参照元:AdobeStock

    間取り

    戸建て住宅では、冬場に雪かきやソリ遊びで使った道具を置いておくために、玄関扉前に屋根付きのポーチが設けられていることが多いようです。また、スノーウェアやスノーブーツなどの防寒服の収納に、耐水に考慮した広い玄関エリアや物入れが用意されています。

    他のヨーロッパ諸国同様、スウェーデンでも近年の住宅ではオープンプランが人気。特にリビング・ダイニング・キッチンはひと間続きで開放感があり、家族やゲストとのコミュニケーションが取りやすい間取りが好まれています。リビング・ダイニングエリアに面することが多いテラスは広々として屋根が付き、スウェーデン人が大好きなジャグジーが設置されていることも珍しくありません。ベッドルームや子供部屋などの個室は、ワンフロアの場合はリビング・ダイニングエリアを取り囲むように、複数階を持つ住宅の場合は上階や地下階に配置されることが多いようです。

    テラス・庭にプライベートサウナやジャグジーを持つ人も(参照元:AdobeStock

    スウェーデン的インテリアデザイン

    最後に、スウェーデンの2つのインテリアトレンドを紹介します。北欧スタイルのタイムレスなデザインをベースに、その時々のトレンドでスパイスを利かせて絶妙な新鮮さを生み出している点、スウェーデン人のセンスの良さを感じます。

    北欧×アジアンミックス

    北欧スタイル(Scandinavian)に和風テイスト(Japanese)をミックスさせたジャパンディ(Japnadi)スタイルはすでに定番として地位を確立し、引き続き人気を博していますが、他のアジアンテイストを取り入れたコーディネートにも注目が集まっています。元々北欧スタイルと日本をはじめとするアジアンスタイルはカラーパレットが近く、デザインがシンプルで空間の余白を大切にするなど共通点が多いため、馴染ませやすいのがメリット。重用する素材も木、石、紙、コットン、籐、など自然なものが多い点で似通っており、組み合わせやすいスタイルと言えます。

    北欧をベースに、盆栽や家具のコーディネートでアジア色を出している(参照元:AdobeStock

    【パラドー社のおすすめ床材】

    Dolomite white(ドロミテホワイト)

    高貴な鉱石として知られるドロマイトをモチーフにした床材。白色~ややグレーがかった美しい表面は、北欧デザインのベースであるニュートラルカラーや、アジアンテイストの強い家具にもよく馴染み、上質な空間を演出してくれます。

    Concrete light grey(コンクリートライトグレイ)

    むき出しのコンクリートデザインは無骨な印象を与えると思われがちですが、明度高めのライトグレーならクールさとあたたかみが絶妙なバランスを醸し出してくれます。さまざまなインテリア合わせに重宝する、オールラウンダーなタイル柄です。

    ウォームミニマリズム

    従来の北欧スタイルよりも温かみのあるアーストーンをカラーパレットに使い、より丸みのあるデザインの家具や柔らかいテクスチャの組み合わせが特徴のスタイルです。自然からインスピレーションを受けたラグや壁紙、観葉植物など、バイオフィリックを意識したアイテムも積極的に取り入れられます。

    丸みのある家具やアースカラー使いがぬくもりを感じさせる(参照元:AdobeStock

    【パラドー社のおすすめ床材】

    Oak Studioline sanded(オークスタジオラインサンデッド)

    オークの持つ自然な表情を活かしたシームレスな曲線美を空間に描く、上品な一品。ヨーロッパで極上のグレードと謳われる、節目や白太のない厳選されたオーク材をモチーフにし、落ち着いた優しい印象を室内にもたらしてくれます。

    Oak Urban white limed(オークアーバンホワイトライムド)

    ヨーロッパで智慧の象徴として知られるオーク材をモチーフにしたエコ床材。ニュートラルなその表情はウォームミニマリズムスタイルと好相性で、見る人に洗練された都会的な印象を与えます。持続可能な天然原料を主に使用した Moduler ONE シリーズは、環境保護意識の高いスウェーデン人のインテリアとして最適の床材です。

    【参考文献・資料】
    ※1: 「各国の国土政策の概要|スウェーデン」, 国土交通省国土政策局
    ※2: 「スウェーデン王国(Kingdom of Sweden)基礎データ」, 外務省, 2024年
    ※3: 「スウェーデンの概要」, 在日スウェーデン大使館公認 観光情報サイト

    ドイツの産んだ新世代床材

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