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2024.4.2
タイル柄フロアの特徴と組み合わせインテリアの最適解
監修
インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー/キッチンスペシャリスト猿渡 奈央
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
住宅の内装床材として真っ先に名前が上がるのはフローリング(素材は無垢材や合板)ですが、「タイル」もその豊かな表情や耐久性の高さから人気のある素材です。ひとくちにタイルと言っても、粘土や陶土を焼き上げて作った陶磁器質タイルや石材から、それらのデザインを用いつつ扱いやすさを高めたPVC(ポリ塩化ビニル)、SPC(主成分は石灰石とPVC)製などの人工床材も多く発売されています。
今回は「タイル柄フロア」をテーマに、その種類と素材ごとの特徴、タイル柄を活かしたインテリア合わせを考えます。
タイル柄フロアのパターンと特徴
内装床材としてよく使われるタイルのパターン(柄)には、代表的なものに以下の4つがあります。土や石といった天然素材を使ったタイルは高価で、その硬さゆえ扱いが難しいところもあるため、タイル柄を模したPVCやSPCなどの人工材フロアがそのデメリットを補うことでより気軽に導入できる床材としてシェアを拡大しています。
タイル柄フロアのパターン(1):装飾タイル調
レリーフ柄、マヨルカ柄、モザイクなど、粘土や長石を焼成した磁器質タイル、陶土や石灰を焼成した陶器質タイルのこと。内装床材としては、1250℃程度と非常に高い温度で焼成され、吸水率が低いため変形しにくい磁器質タイルが用いられることが多い。細かなデザインや質感を反映しやすいため、内装のアクセントに使われることもある。
タイル柄フロアのパターン(2):石目(ストーン)調
大理石、御影石など天然の石材で作られたタイル。自然が生み出す美しいパターンと高級感、同じ物はふたつとないオリジナリティーが特長。濡れると滑りやすいため、屋外使用には向かない。
タイル柄フロアのパターン(3):コンクリート調
石灰石・粘土・石膏を原料とするセメントを加工して作られるコンクリートを素材とするタイル。無機質でクールな印象を演出するのに向いている。
タイル柄フロアのパターン(4):テラコッタ調
粘土や長石などをより高い温度で焼き上げたせっ器質タイルが多い。素焼きで素地そのものの風合いを生かしたものが多く、内装に使うと素朴な印象に仕上がる。
次に、素材別のメリットとデメリットを見てみましょう。天然素材であっても人工素材であっても、タイル材の最大のメリットは水に強いことです。汚れた時にサッと水拭き掃除ができる点は、日々のメンテナンスを行う人にとっては重要なポイントと言えるでしょう。
人工素材は天然素材に比べて見た目では劣るものの、クッション性が高く足腰にやさしい、物を落としても壊れにくいなどのメリットもあるため、居住者のニーズによって何が最適な床材かは異なってきます。一方でPVC床材は継ぎ目から水が侵入するとカビが発生するリスクがあり、水回りには向かないという点も考慮する必要があります。それぞれの素材が持つ性格を見極め、適材適所で使用場所を選ぶことが居住後の満足度につながります。
材料 | 見た目 | 扱いやすさ | 耐久性 | 価格 |
---|---|---|---|---|
セラミックタイル(磁器質、陶器質、せっ器質) | ◎ | △ ・衝撃に弱い ・防音性がない |
◎ | × |
クッションフロア(PVCフロア) | △ ・チープさがある |
◎ ・敷設が簡単で自由度が高い |
△ ・耐用年数が短い |
◎ |
フロアタイル(PVCフロア) | 〇 ・クッションフロアよりも意匠性が高い |
◎ | 〇 | 〇 |
SPCフロア | 〇 | ◎ ・キズや衝撃に強い ・防音性が高い ・床暖房に対応可能 |
◎ ・耐熱安定性が高い |
〇 |
タイル柄フロアとインテリアの組み合わせ方
では、タイル柄の床材を選んだ場合、どんなインテリアと組み合わせるのがいいのでしょうか?上記で紹介した装飾タイル調、石目調、コンクリート調、テラコッタ調の4つのパターンで、それぞれと相性の良いインテリアを紹介します。
装飾タイル調
選ぶべきインテリアスタイルはタイルの色・柄に左右されますが、床面に個性が出るため、家具やデコレーションアイテムにはすっきりとしたシルエットかつシンプルなカラーリングのものを選ぶと雑多な印象を抑えることができます。色数を抑えた幾何学柄にはモダン、カラフルな柄には南欧やボヘミアンなどのスタイルがマッチします。
また、床材に使われているカラーの一部をアイテムに取り入れると、空間全体がまとまりある印象に仕上がります。以下のコーディネート例では、タイル柄に使われているグレー、ベージュ、ホワイトをテーブルトップや椅子の足、カーテン、シェルフに取り入れることにより、床面と上部空間をうまく融合させることに成功しています。
【パラドー社の装飾タイル調床材】
中国最大級の象山芸術学校、中国の近代建築と伝統的建築の融合がモチーフとなって生み出されたデザイン床材。杭州の自然とレンガ建築から受けたインスピレーションを芸術的に具象化した珠玉の作品。柄は個性的なものの、モノトーンなので合わせやすい。
インドのグジャラート州にある広大な湿地帯の表情をうつしたデザイン床材。夕陽に照らされた砂の大地と人々の叡智を複雑に織り成した、神秘的で壮大な作品。ナチュラルモチーフやナチュラルカラーを多く取り入れたインテリアスタイルに似合う。
石目調
石目調の床は、インテリアに重厚感と高級感をもたらしてくれる存在です。石の色・柄に依ってモダン、クラシック、ラスティック、アジアンと、時代や地域を超越して幅広いインテリアスタイルに組み合わせることができる、汎用性が高いパターンです。
インテリア選びの注意点としては、床面とのアンバランスさを回避するため、ある程度重量感を感じるような家具や小物を選ぶと良いでしょう。大理石や石英岩など石目の出方が強い材にはクラシックやヴィンテージといった伝統的スタイルが、ドロマイトや御影石など石目の出方が弱い材にはラスティックといった近代的スタイルが適しています。
【パラドー社の石目調床材】
エネルギーを与える高貴な鉱石として知られるドロマイトをモチーフにしたタイル床材。清潔感に満ちたその優麗な絵模様が高級感を醸し出してくれる。モダンやラスティックなど、近代的なインテリアスタイルに似合う。
日本では希少石材に数えられる御影石、それを美しい黒炭の色合いに混交したタイル調床材。自然界の黒の醸す独特なニュアンスが、空間を重厚かつ清高さ溢れるものにしてくれる。色と材の両方から重い印象を与えるので、インテリアで軽さをプラスするのがベター。
コンクリート調
コンクリート調のタイル床にマッチするインテリアは、モダンやインダストリアルなど、クールさが際立つスタイルです。コンクリートという素材が無機質で冷たい印象を与えるため、観葉植物や、自然素材を使った家具や小物など、無骨さが和らぐアイテムを配置してバランスを取りましょう。
以下のコーディネート例では、丸太風コーヒーテーブルや籐製パーテーション、観葉植物がワントーンの空間に有機的なアクセントを加えています。ベージュとモスグリーンという、生命力を感じさせるアースカラーも、コンクリートの持つ性格とは真逆の性質で、インテリア全体を単なるクールさでは収まらない絶妙なものにしています。
【パラドー社のコンクリート調床材】
洒脱なドイツ近代建築をモチーフにした色味と、遊び心のあるインダストリアルな柄が組み合わさったデザイン床材。
剥き出しのコンクリートを思わせる、シンプルで合わせやすいタイル柄。素朴な印象ながら多様な背景にマッチし、ドイツのバウハウス風やインダストリアル風インテリアを中心に幅広く使えるオールラウンダー。
テラコッタ調
テラコッタ調床材の特徴は、素焼きの土が醸し出す柔らかな表情や質感を感じられるところ。テラコッタ床には、自然素材をふんだんに取り入れつつモダンさも内包するラスティックや、海と陸の鮮やかな融合が魅力の南欧風インテリアが似合います。