床材の知識

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    2024.6.4

    【徹底解説】デンマーク流インテリアデザイン・間取りの特徴

    監修

    インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー/キッチンスペシャリスト猿渡 奈央

    海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。

    国連機関(UN Sustainable Development Solutions Network)が毎年発表している世界幸福度レポート(World Happiness Report)でランキングトップ争いの常連で、福祉大国としても知られる北欧の小国デンマーク。人口590万人ほど(日本の約20分の1)のこの国で幸せに暮らす人々の生活からは、物的な満足に頼らない豊かな生き方が垣間見えます。

    ミッドセンチュリーモダン期から存在感を増し、世界中で愛される作品を数多く生み出し続けるデンマークのインテリアデザインについて、人々の暮らしぶりや国民性を交えながら解説したいと思います。

    カラフルな壁の家が並ぶデンマークの港町の風(参照元:AdobeStock

    デンマーク人のインテリアに対する姿勢

    デンマーク人のライフスタイルは、「Hygge(ヒュッゲ)」という、その地の人々の生き方を表す言葉に集約されています。ヒュッゲは、家にいる時の快適さ(comfort)やあたたかさ(warmth)、家族や友人と共有する穏やかな時間(togetherness)のことを指す、デンマーク発祥の概念と言われています。そこに含まれているのは物的な豊かさではなく、心地よいフィーリングや人とのつながりといった、内面から満たされる感覚です。

    暗く冷たい冬に毎年さらされるデンマークの人々は、長い時間を過ごす家の中の空間づくり/インテリアにこだわり、人々が大切にしているこのフィーリングをそこに反映しています。デンマークのインテリアデザインは往々にして「北欧スタイル」とひとくくりにされることがありますが、機能性と実用性により重点を置いた、シンプルで洗練されたデザインがデンマークの家具づくりの特筆すべき点です。自然素材、特に木材の美しさと質感を際立たせた家具が多く、その独特の雰囲気に魅了されたファンが世界中に存在します。

    厳しい冬を乗り越えるため、家の中の快適さが重要(参照元:AdobeStock

    デンマークの家の特徴・間取り

    最新(2022年)の環境パフォーマンス指数(Environmental Performance Index:EPI)で世界トップをマークするデンマークは、住宅や製品の建築・製造プロセスと使用・運用プロセスの両面から環境負荷を軽減する取り組みを積極的に行う環境先進国であることでも知られています。

    冬の寒さが厳しい環境も相まって、エネルギー効率に優れ、高気密・高断熱で長寿命な住宅設計や、再生可能エネルギーシステムの導入が進んでいます。都市環境との調和が重視されており、緑化や自転車利用者の利便性が考慮された、持続可能で住みやすい計画がなされています。

    デンマークの都市部のアパートメント(参照元:AdobeStock

    リビング

    冬の日照時間の短さをカバーし、いかに室内の明るさを保つかがデンマークの家の課題であり、太陽光を積極的に取り込むためのルーフウィンドウや、暖色系の間接照明が重用されます。外が雪景色でもあたたかさを感じる薪ストーブも、リビングの定番アイテムです。

    デンマークでは多くの都市や地域で、地下に敷設されたネットワークを通じて熱水が各建物に供給される地域熱供給(District Heating)による暖房システムが整備されています。冬季に快適な室温調整を行うために欠かせない床暖房ですが、パラドー社の床材は床暖房にも対応しており、熱による伸縮が少ないのが特長です。

    暖炉を備えたリビングルーム(参照元:AdobeStock

    子供部屋

    他の欧州諸国同様、乳児の頃から子供部屋を用意するのが一般的ですが、よりナチュラルでニュートラルなカラーパレットでスタイリングするのがデンマーク流のようです。子供の好みが出てきてからは親の嗜好や性別による押しつけをせず、子供の自主性で好きな物や好きな色を取り入れて楽しく自由な空間になるよう工夫されます。

    子供用家具を選ぶ際、親が気遣うのは機能性だけでなく、デザインと素材の安全性です。例えば、環境面や労働面で適切に管理された森林からの木材に対して発行されるFSC認証(森林管理協議会認証)や、環境への配慮や持続可能性を高める製品を認定するノルディックスワンエコラベル(Nordic Swan Ecolabel)などの環境ラベルをもとに、子供の心身と、環境にも配慮した製品を選ぶ消費行動が子供を持つ親の間で根付いているのです。

    デンマークの子供部屋の一例(参照元:AdobeStock

    キッチン

    外からの光を遮らずに家の中に行き渡らせるのに最適なのは、可能な限り壁を廃することです。冬の間特に外光が制限されるデンマークで人気が高いのは、リビングエリアとの間に仕切りのないオープンキッチンです。リビングやダイニングで過ごす家族の存在を常に感じることができ、デンマーク人が大切にするヒュッゲな暮らしにマッチしているのも選ばれる理由のひとつでしょう。他の居住エリア同様、機能性とデザイン性が両立したキッチンは、使い勝手とメンテナンスの両面で優れています。

    デンマークのオープンキッチンの一例(参照元:AdobeStock

    間取り

    九州と同程度の面積しか持たないデンマーク(アイスランドを含めない)ですが、人口密度は日本より低く、それが居住面積にも表れています。デンマークの住宅の平均延べ床面積は112㎡(※1, 2019年)で、日本の全国平均92.06㎡(※2, 2018年)よりも20%程度スペースに余裕があります。日本と比べて段違いに広いわけではないものの、壁の少ないオープンな間取りが好まれるため、デンマークの家は実際よりも広々として見えます。

    また、庭/テラス/バルコニーなどのアウトドアスペースは居住空間の一部として重要視されており、都市部でもバルコニーが付いたアパートメントが多く見られたり、住人が共同で使える中庭が備えられていることも珍しくありません。これらのアウトドアスペースは、家族や地域の人々とのコミュニケーションの場、リラックスする空間、日光浴スペースとして活用されており、デンマークの人々の暮らしに欠かせないものとなっています。

    アウトドアスペースでのリラックスタイムはデンマーク人に欠かせない時間(参照元:AdobeStock

    デンマーク的インテリアデザイン

    最後に、デンマークでトレンドとなっている2つのインテリアスタイルを紹介します。飽きの来ないタイムレスなデザインが真骨頂のデンマークスタイルですが、少しずつ時代にフィットしながら進化を続けています。

    歴史的デザイン×新要素

    デンマークには歴史に名を残した著名なデザイナー/家具が多く存在し、今もフリッツ・ハンセンやルイス・ポールセンのようなメーカーによって名作家具の復刻版が生産され続けています。ハンス・J・ウェグナーのYチェア(1950年)や、アルネ・ヤコブセンのセブンチェア(1955年)/エッグチェア(1958年)、ポール・ヘニングセンのPH5(1958年)などがその代表格です。名作家具の彫刻的美しさは年月を経ても色あせることなく、今のトレンド素材やカラーパレットと合わせることで、新たな輝きと魅力を放ち続けています。

    ナチュラルウッドが定番のYチェアとモノトーンのスタイリングが新鮮な驚きを生む(参照元:AdobeStock

    【パラドー社のおすすめ床材】

    Concrete grey(コンクリートグレイ)

    歴史的デザインの家具合わせに新風を吹き込むむき出しのコンクリート。素朴な印象ながら、さまざまなインテリアスタイルにマッチするオールラウンダーなタイル柄です。

    Dolomite white(ドロミテホワイト)

    高貴な鉱石として知られるドロマイトをモチーフにした床材。石材は、サーキュラーデザインが目指す持続性と有機性を感じさせるとともに、木材の美しさが際立つデンマークの家具と最高のハーモニーを醸します。

    サーキュラーデザイン(循環型デザイン)

    デンマークには、建築やデザイン分野でも持続可能性を考慮する姿勢が根付いています。従来のリサイクル型ではなく、【(1)生産→(2)使用→(3)リサイクル】を繰り返す過程で廃棄が発生しないサーキュラーデザインの考え方が広まっており、廃棄を出さないために、最初の生産段階から製品寿命が長く、リユース・リサイクルしやすい素材を使って設計されています。北欧の大手家具メーカーもサーキュラービジネスの実現に乗り出すなど、再生可能素材・リサイクル素材の活用は世界のトレンドになっています。

    元々汎用性が高く、タイムレスなデザインを得意とするデンマークの家具・家づくりはサーキュラーデザインと相性が良く、国民の環境意識の高さとも相まって広く受け入れられています。例えば下の写真の天井材に用いられている竹は、強靭で耐久性が高いことから注目される内装材のひとつです。

    竹を天井材に用いたサーキュラーデザインの一例(参照元:AdobeStock

    【パラドー社のおすすめ床材】

    Oak grey whitewashed(オークグレイホワイトウォッシュド)

    ヨーロッパで智慧の象徴として知られるグレー色のオークは、どんなコンセプトとでも調和を奏でます。心と空間に静寂をもたらす落ち着いたトーンは、ヒュッゲを大切にするデンマークの人々の暮らしにそっと寄り添います。

    Marble Eos white(マーブルイオスホワイト)

    見る人に優雅な印象を与える大理石モチーフの床材。ドイツの厳しい基準をクリアしたエコ素材のみを使用したModular ONE(モジュラーワン)シリーズは、サーキュラーデザインのコンセプトにマッチすると同時に、木材の美しさが際立つデンマークの家具と最高のハーモニーを醸します。

    【参考文献・資料】
    ※1: “Denmark in Figures 2019”, Statistics Denmark, 2019
    ※2:  「平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果」, 4-住宅の規模, 総務省統計局, 2018

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