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2024.5.13

【徹底解説】イギリス流インテリアデザイン・間取りの特徴

監修

インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー/キッチンスペシャリスト猿渡 奈央

海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。

「イギリスのインテリア」と聞くと、重厚で豪華な調度品であつらえられたヴィクトリアスタイルを思い浮かべる人が多いのではないかと思います。同スタイルが全盛だったヴィクトリア朝時代(1837~1901年)は大英帝国が全盛を誇った時代で、当時のイギリスの栄光と中流階級の豊かな暮らしの象徴として、高齢層を中心に今もこのスタイルの人気は健在です。

一方、今日のインテリアデザインは、ヨーロッパで興ったアールヌーヴォー(19世紀前半)、ウィリアム・モリスが主導したアーツ・アンド・クラフツ運動(19世紀後半)、ミッド・センチュリー・モダン(20世紀半ば)やパンク・ロック運動(20世紀後半)などさまざまなアートムーヴメントから影響を受け、古き良きイギリスとは一線を画した、あるいはそれらを消化した上で出現した新たな方向に向かっています。今回はそんなイギリスのインテリアについて、イギリス人の暮らしぶりや国民性を交えながら解説したいと思います。

イギリス・ロンドンの街並み (参照元:AdobeStock)

イギリス人のインテリアに対する姿勢

イギリスのインテリアには、質の良い物を長く大切に使おうとするイギリス人のメンタリティと、同国の不安定な気候が色濃く反映されています。元々物を大切にする志向の強いイギリス人ですが、近年の持続可能性を重視する社会傾向と相まって、家も家具も修理しながら引き継いでいこう、サステナブルな製品を選ぼうという意識がさらに高まっています。SNS映えを狙った見栄え重視の商品や大量生産のファストインテリアを見限り、飽きのこない普遍的デザインや作りのしっかりした物を選択する、意識的な購買行動を取る人が増えているのです。

“新品であること”にさほど重きを置かない価値観のため、古い家を購入して自分好みにリノベーションする人も珍しくなく、内装やインテリアは新旧が交じり合ったエクレクティック(折衷)スタイルが主流です。部屋ごとに内装を変えるパターンもよく見られ、住居全体の統一感よりも部屋ごとの個性や利便性が重視される傾向にあります。

イギリスのインテリアにおいてもっとも特徴的と言えるのが “柄のある壁紙”ですが、これには同国の気候が大きく影響しています。曇りや雨が多い気候は気分を鬱々とさせるため、明るくあたたかみのある色の壁紙で少しでも気持ちを明るく保とうとするイギリスの人々の工夫なのです。壁紙の柄には豊かな自然からインスピレーションを得たモチーフ ― リバティプリントやダマスク柄 ― がデザインされ、素材にも木材・石・ウールなどの自然のものがよく使われます。

ダマスク柄の壁紙を使ったベッドルーム(参照元:AdobeStock

イギリスの家の特徴・間取り

イギリスの都市部では、土地の効率的な活用のために隣家と壁を共有するテラスハウス(連棟住宅・長屋)が多く見られます。住宅の密集度が高まるこの建設様式は地震が少ない地域ならではで、日本では防災上あまり見られません。

日本の1階にあたるグラウンドフロアには玄関とリビングルームを中心とした来客対応スペース、2階にはキッチン・ダイニングエリアとベッドルームやバスルームなど家族の生活空間、3階には仕事部屋や子供部屋といった配置がテラスハウスではよく見られます。バックヤードに面するガーデンルームはイギリスの住宅によく見られる施設で、緑を見ながらリラックスするためのスペースとして重宝されています。

イギリスのテラスハウス(参照元:AdobeStock

1. リビング

イギリスのリビングの象徴的存在は、暖炉とマントルピースです(マントルピースは暖炉を囲むように設けられた飾り棚のこと)。元々は中世ヨーロッパで暖炉の煙が屋内に入るのを防ぐ役割で取り付けられた設備でしたが、徐々に彫刻を施すなど装飾的な要素が強くなっていきました。産業革命以降のより効率的な暖房システムの普及や、大気汚染や健康への悪影響に対する懸念から暖炉を日常的に使う人は少なくなっていますが、マントルピースは今も飾り棚として活用され、イギリスのリビングルームのアクセントとなっています。

マントルピースのあるリビングの一例(参照元:Unsplash

床材として以前は主流だったカーペットは衛生面やメンテナンス面から需要が減り、代わりにフローリング、リノリウム、タイルが近年よく使われています。新旧アイテムを織り交ぜてインテリアに取り入れることが多いイギリスの住居の床材には、経年を感じるダーク系フローリングや、重厚感を感じる石材モチーフのタイルがマッチします。

パラドー社の石目調床材・Mineral grey(ミネラルグレイ)を使った例

2. 子供部屋

イギリスの子供たちは乳幼児の頃から自室を持つのが一般的です。ひとりで眠るために幼少期から自分のベッドが用意されているのはもちろん、就学年齢近くになれば学習机や本棚も置かれます。明るい色で塗られた壁と、ポップなデザインの家具で、子供たちが楽しい気持ちで過ごせるようなデザインが取り入れられます。

早くから自立心を育てる教育方針の親が多く、壁の色からベッドリネンに至るまで、置かれるアイテムは子供の意見・好みを尊重して選ばれることが多いようです。家具も、子供が自分で洋服を選びやすいか、片づけしやすいか、といった視点が重視され、自分の物を自分で管理することを学ぶのに適した商品が良い物と考えられています。

イギリスの子供部屋の一例(参照元:AdobeStock

3. キッチン

リビング同様、キッチンの壁にもカラフルな壁紙が用いられるのがイギリス流です。イギリス人はあまり料理をしないことで知られていますが、日々やらなくてはならない項目のひとつである料理に、少しでも楽しい気持ちで取り組みたいというイギリス人のメンタリティが垣間見える部分でしょう。19世紀のイギリスでアーツ・アンド・クラフツ運動を担ったデザイナー、ウィリアム・モリスによる壁紙は、今もイギリスの住宅でアイデンティティを示しています。

都市部では日本同様、住宅利用できる土地が限られているため、イギリスのキッチンもコンパクトなつくりが主流となっています。収納スペースも効率化され、使いやすさが重視されている点、日本の住宅にも取り入れやすいと言えるでしょう。伝統的なパブを彷彿とさせるような木製カウンターやアンティーク調のハンドルなどを使ったブリティッシュスタイルやカントリーモダンスタイルは、今も人気の高いスタイルです。

イギリスのキッチンの一例(参照元:AdobeStock

4. 間取り

イギリスの住宅はスペースを贅沢に使うというより、限られた空間の中で快適に過ごすために考え抜かれた間取りになっており、その点では日本が大いにシンパシーを感じるところです。間取りは当然住宅の大きさ、周囲の環境、居住者の嗜好によって異なりますが、イギリスの都市部に多いテラスハウスではグラウンドフロアを庭・パティオやルーフテラスに特化させ、リビング・キッチンやベッドルームといった生活スペースを2~3階に集めて、より自然光を取り入れやすい工夫がなされた間取りも人気となっています。

この場合、グラウンドフロアのルーフテラスやパティオは客人に対応する役割を果たすと共に、イギリス特有の「ティータイム」文化を楽しむためにも活用されます。バックヤードはエントランスとは建物を挟んで反対側に配置されており、道行く人の視線を気にせずにプライベートが確保できるように配慮されています。

ティータイムを快適に楽しめるイギリスの庭(参照元:AdobeStock

イギリス的インテリアデザイン

最後に、いまイギリスでトレンドにあげられる2つのインテリアスタイルを紹介します。

1. カフェラテ・モダン

イギリスのインテリアの特徴のひとつとして“柄の使い方が上手い”ことを挙げましたが、柄をまったく取り入れないスタイルも人気となっています。その代表格である「カフェラテ・モダン」は、その名のとおりコーヒーとミルクのような茶色・ベージュ~白のヌードカラーを中心としたカラーパレットで、ミニマリストとまでいかないもののアイテム数を極力減らし、クリーンさが際立つスタイルです。

カフェラテ・モダンスタイルの色使いはパントン社の2024年トレンドカラー「ピーチファズ」とも相性が良く、シンプルながらもトレンド感が出しやすいスタイルと言えます。コージーさを重視し、存在感のあるエクストララージソファをリビングの中心に据えることで、カフェラテ・モダンらしさを出すことができます。

カフェラテ・モダンインテリアの一例(参照元:AdobeStock

【パラドー社のおすすめ床材】

Dolomite white(ドロミテホワイト)

カフェラテ・モダンのカラーパレットにピッタリなのが、大理石などの明るい石材モチーフの床材。高貴な鉱石として知られるドロマイトをモチーフにしたドロミテホワイトは、シンプルなインテリアに独特の重厚感と高級感を醸し出してくれます。

Oak Natural Mixgrey(オークナチュラルミックスグレイ)

明るい色調にライトグレーを重ねたオーク材モチーフの床材は、外からの光を優しく包み込み、モダンな家具に木の柔らかさとぬくもりをプラスしてくれます。

2. バイオフィリック・デザイン

家でのリモートワークや余暇を過ごす時間が増えた反動で、全世界的に自然との触れ合いを求める志向が強くなりました。イギリスでも2022年頃から、外に出られないなら家の中に自然を取り入れよう!というばかりに、バイオフィリア(人間が先天的に持つ自然を好む性質)を建築やインテリアに取り入れた「バイオフィリック・デザイン」が流行しています。

バイオフィリック・デザインの概念を広めた第一人者であるオリバー・ヒースはイギリス人の建築デザイン専門家で、彼が提唱した「バイオフィリック・デザインによって人々の健康や幸福度の向上を目指す」というデザインアプローチがイギリスで広く受け入れられたことは想像に難くありません。

バイオフィリック・デザインの一例(参照元:AdobeStock

【パラドー社のおすすめ床材】

Oak Vintage grey(オークヴィンテージグレイ)

ヨーロッパの古木をモチーフにした床材。職人の手によって丹念に刻まれた古いオークの表情が、自然と人工、外と内の融合を加速させます。

Oak Explorer caramel(オークエクスプローラキャラメル)

オーク材が作り出す複雑な表情にキャラメルを焦がしたようなダークブラウンを合わせた、味わい深いデザイン床材。童話の世界に出てくるような、森の中にいざなうような不思議なハーモニーを醸します。

ドイツの産んだ新世代床材

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