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    2024.1.5

    シロアリ被害に遭いやすい床材

    監修

    インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー/キッチンスペシャリスト猿渡 奈央

    海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。

    年間1000億円とも3000億円とも言われる大きな被害額を出している「シロアリ」、一回発生してしまうと場合によっては100万円単位の駆除費用が発生してしまうこともあり、家主としてはなんとかシロアリの発生を抑えたいところです。

    今回の記事では、シロアリに好まれる床材、好まない床材についての解説をおこなっていきます。

    シロアリとは何か?どのような影響が?

    建築害虫として悪名高いシロアリですが、我々の生活にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか?

    そもそもシロアリはアリ(ハチ目)ではなく、ゴキブリ目の虫となります。世界には2000種のシロアリ科が存在し、そのうち日本に分布する一般的な種類としては「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」があります。うち、特に木材を食料としてコロニーを形成するイエシロアリのほうが、家屋に影響を与える虫として我々に知られています。

    自然界においては、セルロース(死滅した木材)を食料にするシロアリは食物サイクルの一環として機能しているため一概に悪い部分ばかりではないのですが、我々の営む社会生活の観点からはやはり「害虫」という括りとなります。

    シロアリの影響

    • 見た目が悪く、室内で発見した時心理的なダメージが大きい
    • 家屋の資産価値の減少につながる
    • 床や柱を破壊し、家の倒壊を招く危険性がある
    • 床下など目に見えない部分から食い尽くすため、発見が手遅れになることが多い

    本来は温かい気候を好む虫で、日本でも南部に多く見られるシロアリ問題でしたが、温暖化の影響によって次第に生息地域が北上しているという問題が発生しています。

    シロアリ被害にあう確率と物件の築年数は基本的に比例関係になっており、特に築25年をこえるような一軒家では全体の約20%近くがシロアリ被害にあっていると調査されています(参考: 日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合)。

    シロアリに食い破られた柱 (C)Flicker_Chris Baranski

    シロアリの床材への被害と、床材別の耐久度

    上述の通り、自然界においては木の死骸を好む傾向があり、まさに木の死骸=「木材」をふんだんに使用した日本の家屋は、シロアリにとっての格好の餌になりやすいと言えます。ただし、隠れて行動するそのシロアリの特性上、床材の表面がボロボロに食い破られるというより、床の構造部分や床下部分を食い破られ、床鳴りの原因になるなどの影響をもたらします。

    木質系のフローリング

    木材を餌とするシロアリの特性上、木質系のフローリングは全般的にシロアリの被害にあう可能性を秘めていると言えます。もっとも、シロアリにも好き嫌いがあり、木質系のフローリングの中にもシロアリの被害に遭いやすい、あいにくい種類が分かれています。

    まず、シロアリも人間同様に、基本的には「食べやすい」食事を好みます。すなわち、堅い樹種よりは柔らかい樹種を好んでおり、その意味では広葉樹よりも針葉樹のほうがダメージにあいやすいと言えるでしょう。チークやローズウッドなどがそうした「固い」樹種の代表例です。

    また、木にはシロアリのような害虫から身を守る自然の抗菌作用と呼ばれる化学物質を自ら発散するメカニズムが組み込まれており、エッセンシャルオイルなどにも用いられるテルペンなどがこれに当たります。この匂いはシロアリが嫌うものであり、ヒバなどこうしたテルペン類を多く含む樹種は、やはり彼らにとって好ましくないものと言えるでしょう。

    • 木質系フローリングは全体的にシロアリの餌になりやすい
    • 固い樹種は餌になりにくい
    • テルペン類を多く含む樹種は餌になりにくい
    • 定期的なメンテナンス(床下チェック)や湿度の安定でシロアリの予防をおこなう必要はある

    塩ビ系のフローリング

    シロアリの特性上、塩ビ系のフローリングがシロアリの餌になることはありません。ただ、それでもこうした床材がシロアリの被害に合わないということを保証することになはらず、餌である木材にありつくため、その途中にあるプラスチックやリノリウムをシロアリが破壊するという実例が報告されています。木材同様、一般的には固い構造の床材(SPCフロア等)であればその分シロアリにとって破壊しづらいとされています。

    また、床材それ自体を食い破られることはなくても、床下の構造材部分を食い破られてしまうと、床下の耐久が弱まり、結果として床鳴りや、床の陥没に繋がってしまいます。そのため定期的な床下のチェックなどが重要になってきます。

    • 直接的な餌ではないが、破壊されている実例はある
    • 直接的な破壊でなくても、床下の木材構造部分を食い破られることで、床鳴りや床の陥没に繋がることはある
    • 固いもの(SPCフロア等)はシロアリも破壊しづらい

    タイルのフローリング

    床材そのものの強度でみたら、シロアリにとって最も破壊しづらい床材カテゴリとなるでしょう。もっとも、塩ビ床同様に、その床が餌にならなくても、床下や土壌を食い破られてしまうと話は異なります。

    特に、住宅内でシロアリの被害にあいやすいのはタイル床が施工されているはずの浴室であり、タイルのすきまやひび割れから内部に侵入し、構造自体を破壊してしまうことで知られています(参考: シェアリングテクノロジー株式会社)。

    • タイルそれ自体が食い破られることはないが、床下や土壌部分にダメージをもたらす
    • 特に、湿度の溜まりやすい浴室では、タイルの隙間から家の構造内部にシロアリが侵入し、構造材を食い破ることとなるので注意が必要
    ドイツでブランドランキング1位の最高級SPC床材

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