事業者向け

2023.4.9

床材とFフォースターの関係性について

監修

インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー亀田彩夏

海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。

シックハウス症候群の原因と知られるホルムアルデヒドは、世界各国で規制の対象となり、日本でも建築基準法によってその使用が制限されています。今回の記事では、言葉としては聞いたことがあっても、中々その詳しい中身までは知る機会の乏しい、Fフォースターと床材の関係性について紹介していきます。

Fフォースターとは

高度経済成長期以降、ビルや新築の着工増加と建築工法や建材の変化によって、健康に関する一つの社会問題「シックハウス症候群」が誕生することとなります。人によっては頭痛や吐き気など深刻な健康被害をもたらす「シックハウス症候群」ですが、その原因としては主に建材等に用いられている接着剤の発散するホルムアルデヒドが挙げられます。 2003年、建築基準法の改定によって、この社会問題と化していたシックハウス症候群対策が講じられることとなりました。その対策の一つとして、建材の発するホルムアルデヒドの量に応じてその建材の使用範囲を制限する「Fスター」の区分け制度が誕生したのです。

画像引用:シックハウス対策に係る技術的基準(政令・告示)について

上表にある通り、Fスターの認証基準はホルムアルデヒドの発散速度に応じてF~F★★★★の4段階に分類されています。表示なしとされるものはホルムアルデヒドの発散速度が大きく、内装仕上げ材としては使用が認められていません。F★★及びF★★★と判定されたものに関しては、「試用面積を制限」するも、使用禁止されているわけではありません。

そして、建材のパッケージなどに記載されていることの多い「F★★★★(Fフォースター)」とは、ホルムアルデヒドの発散速度が少ないため、内装で使用制限なしに用いることができる、と定められた規格となります。Fスターの中でも最高位に位置する区分けのため、メーカーもこの「Fフォースター」取得済みであることを理由に、健康への配慮などを喧伝します。

Fフォースターの告示対象建築材とそれ以外

ところで、お店などで、Fスターを取得していない建材を見かけることはないでしょうか?実は、建材全てにこのシックハウス対策の規制が当てはめられるわけではありません。石材やガラス材のように、そもそも素材としてホルムアルデヒドやクロルピリホスといったシックハウス症候群の元となる成分を含まないものは、規制の対象外となり、そもそもFスターの取得が不要なのです。

規制の対象となる建材とは、国土交通省の「シックハウス対策の技術的基準」を紐解くと、「クロルピリホスに関する建築材料の規制」「ホルムアルデヒドに関する建築材料及び換気設備の規制」の二軸が中心となっていることが分かります。うち、クロルピリホスに関しては「クロルピリホスを添加した建築材料を用いない」と厳格に定められているのに対し、ホルムアルデヒドに関してはその発散速度に応じて等級が定められており、等級によって内装材に使用できる面積が異なります。

そのうち、ホルムアルデヒドに関する等級、すなわち上述のFフォースターの告知対象建材と見なされるもののリストには、基本的に接着剤を含む建材、すなわち「合板」「木質フローリング」「集成材」「MDF」「塗料」などが含まれており、逆に告知対象外の建材としては「金属類、窯業建材、化粧材(塩ビシート等)、木材(無垢)、接着剤の一部(※ただしウレタン樹脂系接着剤やホットメルト形接着剤などのカテゴリ)」などが挙げられます。

上記のことをまとめ、規制対象建材及び規制対象外建材の関係を分かりやすく説明すると、以下のように言えるでしょう:

1.規制対象建材

  • シックハウス症候群を引き起こす恐れのある建材は規制対象とみなされる
  • 具体的には、複合フローリングやMDF、集成材、あるいはそれを用いて製造された建材
  • 規制対象となった建材のうち、Fフォースターを取得したものは、比較的ホルムアルデヒドの発散が少ないので内装材として制限なく用いることができる
  • そのため、メーカーなどはこのFフォースターの取得を健康への配慮の理由として大きく宣伝することがある
  • もっとも、Fフォースターを取得しているからと言って、ホルムアルデヒドの発散がゼロというわけではない

2.規制対象外建材

  • シックハウス症候群を引き起こす恐れのない、または少ない建材は規制対象外と見なされる
  • 具体的には、金属類、窯業建材、化粧材(塩ビシート等)、木材(無垢)、接着剤の一部(※ウレタン樹脂系接着剤やホットメルト形接着剤などのカテゴリ)
  • これらはそもそも規制の対象外のため、Fスターを取得する必要がない

床材とFフォースター

さて、上記の言を踏まえて床材のうちFスターの取得を必要とするカテゴリの分類をおこなってみましょう。

国土交通省のホルムアルデヒド発散建築材料一覧に名指しされている「木質系フローリング(縦継ぎした単層フローリング等を除く)」、および素材に接着剤をふんだんに用いているMDF(HDF)由来の「ラミネートフロア」などは、Fスター規制のやり玉にあがる存在と言えるでしょう。これらの素材は、Fフォースターを取得していれば規制面積が無く内装材に用いることが可能ですが、これはホルムアルデヒドを全く発散しないという意味ではないため注意しなくてはいけません。

対して、無垢木材、石材、コンクリート、塩ビフロアやSPCフロアなどは、シックハウスの規制対象となる接着剤や塗料を用いてさえいなければ、ホルムアルデヒドを発散するリスクが無い(あるいは極端に低い)規制対象外としてFスターの取得義務はありません。

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