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2023.11.27
SPC床の施工は難しい?施工に関する犯されやすい5つのミス
監修
インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー/キッチンスペシャリスト猿渡 奈央
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
リノベーション物件を中心にマーケットシェアを伸ばし続けているSPCフロアですが、日本には元々存在しなかった新しい施工方法ということもあり、施工ミスなども発生します。床材自体の問題というよりも、不慣れな施工が招いたミスであることが多く、実際には施工時の対応で問題が片付くことが殆どと言えます。
ノリ・釘を使用しないSPCフロア、そんな画期的な床材の日本で起きやすい施工ミスと対処法について5つ紹介をおこないます。
リノベーション物件を中心にマーケットシェアを伸ばし続けているSPCフロアですが、日本には元々存在しなかった新しい施工方法ということもあり、施工ミスなども発生します。床材自体の問題というよりも、不慣れな施工が招いたミスであることが多く、実際には施工時の対応で問題が片付くことが殆どと言えます。
ノリ・釘を使用しないSPCフロア、そんな画期的な床材の日本で起きやすい施工ミスと対処法について5つ紹介をおこないます。
クリック部分が嵌っていない
リノベを前提として作られたSPC床材、基本的には施工・取り外しのしやすいようにクリック式のギミックが内蔵されているパターンが多いと言えます。このクリック式によって、ノリや釘を使わずエコでリノベフレンドリーな施工方法となっているわけですが、裏を返せばこのクリック部分が正確に嵌っていないと、部屋の床材全体が歪んでしまったり、外れやすくなったり、後々の床材が上手く嵌められなくなってしまいます。
また、クリック式の特徴は床材メーカーごとに異なり、例えばドイツParador社のクリック式は強度や下床へ水などが浸透しにくいように製造されたもので、嵌ると「カチッ」という感触が手に伝わるようになっています。
メカニズムとしては至ってシンプルなのですが、後述のように下床に不陸がある、小石が挟まっている、など安定した状況でない場合、この「カチッ」とした嵌め込みが上手くなされないことがあります。上手く嵌め込みがなされたかどうかを確認するためには、上述のように感触で判断するか、目視で床と床の隙間がぴったし納まっているかを確認すると良いでしょう(そのため、施工は日中、明るいうちにおこなうことが推奨されます)。
下床のコンディションが悪い
SPCに関する多くの施工不良は上記のクリック部分が噛み合わないことに起因しますが、その原因としては下床の不陸やコンディションの悪さが影響を及ぼしているケースが多いと言えます。
SPC床材の多くは不陸の影響を最低限に抑えるために、吸音ボードを裏側に内臓していることが多いですが、2~3㎜を越える不陸であったり、全体的になだらかなデコボコを持つような下床は、他の床材を施工する際同様、パテ処理などで事前に下床を整えておく必要があります。
また、SPC床材は重ね張りがおこなえる床材として知られていますが、その場合も下床のコンディションには注意が必要です。一般的に、「清潔で」「平らで」「乾燥した」床の上からであれば重ね張りが許容されていますが、裏を返せばこれらの条件を満たさない下床への重ね張りはトラブルの原因となります。
以下、悪い下床コンディションの例:
- 隙間の大きなタイルなどの上への重ね張り
- 腐った床などの上への重ね張り
- 乾燥しきっていないモルタルの上への施工
- 3㎜以上の不陸や傾斜のある下床への施工
下床の湿気
施工時には問題が生じませんが、後々健康に悪影響を与えるといった意味では、下床からの湿気も無視することはできません。下床がモルタル式の場合、乾燥するのを待ってから上にSPC床を敷き始めないと、床下に湿気がこもってカビの原因となります。また、一軒家の一階部分で、床下から恒常的に湿気があがってくるような構造の部屋も注意が必要です。
床下からあがってくる湿気以外にも、SPCのタイプによっては上部からの水や湿気に注意しなくてはいけないケースがあります。メーカーの仕様によっては、クリック部分からの内部への水の浸透を許す仕組みとなっており、その場合、水をこぼした場合など、中でカビの原因となりかねません。
Parador社のドイツ製クリックシステムはその強度と耐水性に定評があり、上部からのこぼし水に対応、内部への水の浸透を防ぎます。
適切なクリアランス
SPC床材は、塩ビを主たる構成物質として製造されたLVT床材の耐熱性の欠点を補うために開発されました。もっとも、耐熱性に優れるとはいえ、この世に存在する多くの建材材料と同様に熱によって膨張が引き起こされます(※膨張率はメーカーによって異なります)。
そのため、一般的なSPCのメーカーの場合、夏場の膨張に備えて壁や柱から数ミリのクリアランスをとることを推奨しています。施工不良でありがちなミスとしては、壁とのクリアランスを正しくとっていても、柱やパイプなどとのクリアランスを取り忘れてしまうことで、こうした障害物との間にも同様にクリアランスが必要となります。
また、部屋の片方に重い什器などが載っている場合なども注意が必要になります。その場合、SPC床の特性上、重い什器の載っているのとは逆の方向に伸縮するため、あらかじめ多めにクリアランスを開けておく必要があります。
壁とのクリアランス部分には、巾木を当てる、あるいは伸縮性のあるコーキングを用いることで対応が可能です。
直射日光
こちらも、多くの建材材料に当てはまる弱点と言えますが、表面温度の上がりやすい夏場の長時間の直射日光はSPC床材にとっても変色、変形の原因となります。特に、入居前の施工現場など、養生シートやカーテンを被せず長い期間放置してしまい、結果として床材が変形してしまう、という問題は耐熱性に強いSPC床材でも避けられません。
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