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2023.3.1
床材別の後悔の理由と対処法:無垢、SPC、タイル等
監修
インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー亀田彩夏
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
インテリアの中で重要な存在感を放つ一方で、一度施工してしまうと解体の難しい床材は、リフォームや注文住宅設計の際の頭痛の種となりがちです。デザイン性だけでなく、実用性、つまり日々のメンテナンスや踏み心地などにも直結することから、お目当てのパフォーマンスが得られず、施工部位の中でも後悔の元となることが少なくありません。
今回は、そんなリフォームや新築につきものの床材別後悔のポイントと対処法を紹介していきます。
目次
床材は後悔の元?簡単にリフォームできない床材のカラクリ
床材選びの問題は、必ずしも高級なもの、評価の高いものを選んだからと言って、その床材が自身の家庭の最適解であるとは限らない、という点です。一例として、床材業界で高級品として見なされているのは「無垢フローリング」ですが、自然の造作物である木質材ゆえに、湿気などでトラブル頻発の原因となることがあると言えます。
このことは床材そのものや施工上の欠陥というより、メンテナンス方法や室温など施工後のコンディションに起因することが多く、メーカーや施工業者に責任を問うことができません。他にも、「床が思ったより冷たい」「思ったよりキズが付きやすい」「掃除しづらい」といったものもメーカーや施工業者の責任ではないため同様に返品・返金などの対象とはなりえないところです。
床材に起因するこのような後悔が特にクリティカルな理由としては、床材施工の持つ不可逆性が挙げられます。家具のように部品交換、あるいはそのものを買い替える、ということができずに、基本的には「解体して、総とっかえする」という大掛かりな手間がかかるため、床材に関しては他のインテリア以上に慎重になる必要があるのです。
もっとも、床材の解体のしやすさはそのカテゴリによって異なるため、床材によっては気軽に取り外し、リフォームも行えます。目安として、一般的に、クッションフロアや塩ビタイル、タイルカーペットのような、薄く、軽量に製造されていることが多い素材は施工・解体が容易と言え、逆に硬いセラミックタイルや木質フローリングのような床材は施工・解体が大掛かりになりがちと言えます。ただし、薄く軽量な素材はその分耐久性に弱点を抱えることが多く、この「耐久性」と「後からの解体の容易さ」は将来の家族構成やリフォームプランに沿って慎重に勘案する必要があると言えます。
欧米で誕生したクリック式SPCフロアは、家主の家族動態の変化に伴う手軽なリフォームを想定した作りになっており、SPCフロアそのものの持つ耐久性とは裏腹に、取り外しもしやすい特殊なケースと言えるでしょう。
床材別後悔の理由
状況に応じて後悔のポイントは異なりますが、今回は一般住宅への施工を考えた際、それぞれの床材施工に応じた後悔の理由とその解決方法を紹介していきます。
無垢フローリング(木質フローリング)
高級フローリングの代名詞で、吸湿効果や音響効果など心身に影響の良い特徴を多く抱える無垢フローリング。手触りもデザイン性も良く、一般住宅だけでなく幼稚園やヨガ施設のように、床に直接腰を下ろすようなシーンや、カフェや高級レストランのような特別なインテリアを演出したい場所でも重宝されます。
最も、自然の造形物である木材をその基材に使用していることから、メンテナンスといった面では無垢フローリングは扱いづらい床材カテゴリとも言え、それゆえに後悔を感じるポイントも少なくありません。
後悔するポイント
- 湿度や水分による床材のあばれ
- 水拭きなどメンテナンスのしづらさ
- 湿度環境の変化などによる床鳴り
- 表面のキズつきやすさ
- 重たい家具を乗せた際の凹み
- 一旦施工すると、取り外しが困難
後悔したあとの対策
- 一般的には床の専門業者に依頼することになる
- 小さいキズなどであればDIYで補修可能なこともある
塩ビタイル
耐水性に優れ、施工のしやすさやデザインの豊富さから飲食物件、水回りなどで人気を持つ塩ビタイル。その素材はPVCで弾力性を持つため、SPCフロアやセラミックタイルほどの耐久性は持たないものの、反面柔らかさを持つという施工上の長所に繋がっています。
後悔するポイント
- 床暖房や直射日光での伸縮
- 重い家具などで凹みの跡がつく
- クッションフロアほどではないが摩耗に弱くキズがつく
後悔したあとの対策
- 施工後の取り外しは比較的容易
カーペット
敷き込みカーペットは、防音効果もあり、衝撃を吸収してくれることから小さいお子さんがいる家庭などでは重宝されやすいです。無垢フローリングのように完全に固定されるわけではないため、張替えも比較的に容易と言えます。
後悔するポイント
- 汚れやシミ
- 凹み
後悔したあとの対策
- 施工後の取り外しは比較的容易
- シミや凹みなどはカーペットのタイプによっては補修可能
クッションフロア
お手軽な価格帯と施工の容易さが呼び水となり、リフォーム案件を中心に人気を博しているクッションフロア。最も、その素材自体が安価で柔らかいため、耐久性やデザイン性にはやや疑問符がつく場面が少なくありません。
後悔するポイント
- 家具などの跡が残りやすい
- 落とし物などでキズが付きやすい
- 使用による摩耗が早い
- 全体的に安っぽく感じる
後悔したあとの対策
- 施工後の取り外しがとても容易
あまりデザインや耐久性にこだわらない室内シーンや、一時的なリフォームとして、賃貸の間に合わせとして使用するなど、場面によっては重宝されますが、一般的な生活空間に施工すると何となく不自然さを感じてしまうことが少なくないようです。
SPCフロア
耐熱性に弱点を抱えていた塩ビタイルの代替品として欧米で誕生したSPCフロアは、耐久性や耐水性に優れることから、キズやメンテナンスなどの点ではあまり問題を抱えることがありません。欧米で発展したクリック式を採用したSPCフロアであれば、ノリや釘で床に直接固定するわけではないため、気に入らない部分があったとしても解体も非常に容易に行えます。
欠点としては、塩ビタイルを強固にするために石灰石を混ぜ込んでいることから、耐久性を得た一方で製品自体が固くなっている点です。
後悔するポイント
- 床が固いと感じることがある
後悔したあとの対策
- カーペットやラグなどを敷く
- 施工後の取り外しがとても容易
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