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2023.4.20
【梅雨のトラブル対策!】湿気に強い床材の一覧
監修
亀田彩夏インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
春のうららかな気候の後は、梅雨のじめじめとした時期が続くこととなります。ただでさえ四方を海に囲まれ、数ある国の中でも比較的多湿環境で知られる日本にあって、長雨の続く6月は特に湿気ことが気がかりになるのではないでしょうか。突き上げ、床鳴り、カビ、白アリなど、これらはみな多湿環境下で引き起こされるものとして知られています。
今回の記事では、そんな湿気にまつわる床材トラブルのメカニズムと、湿気に強い床材の特徴について解説をおこないます。
湿気と床材トラブルの関係性
そもそも湿気と床材トラブルには、どのような関係があるのでしょうか?
元来、多孔質である木材には表面には肉眼で見えない多くの穴が備わっており、この穴が空気中の湿気を吸収する働きをします。すなわち、空気中の湿度が高い場合は水分を吸収し、湿度が低い場合は水分を空気中に発散する、といういわば自然の調湿機能を携えているのです。
この調湿効果は人体にとって快適な湿度に調整するという長所を持つ一方、木材由来の建材(特にフローリング)のトラブルの元として数えられることが少なくありません。水分を吸収するということは、フローリングが膨張することと同義であり、床に膨張を支えられる余裕がないと突き上げや床鳴りの原因となりえるわけです。逆も然りで、極端な乾燥状態の場合ではフローリングが収縮し、場合によっては隙間ができてしまうこととなります。
これらはフローリング自体の瑕疵や問題というよりも、木材そのものの持つ特性にその原因を持つため、こうしたトラブルを回避するためには、湿気の多い場所では施工の方法を変えるなどの対策を講じる他ありません。具体的には、クリアランスをとる、防湿シートを用いる、下床との接着を強固におこなう、などです。
また、木材由来のフローリングの中でも、無垢フローリングや、HDFを基材に用いたラミネートフロアなどは特に湿度による膨張の度合いが高いことで知られています。これらは、空気中の湿度のみならず、こぼされた水やたまり水にも反応するため、キッチンや脱衣所、水回りなどでも使用の際には注意が必要です。
湿気に強い床材
無垢フローリング、ラミネートフロアなど木質由来のフローリングが湿気に反応し、膨張・収縮の原因となるのに対し、以下に挙げる床材のカテゴリはそもそも素材上(陶器、樹脂、石灰石、等)湿気の影響を受けにくい、または受けない素材です。上述のような湿気による突き上げや床鳴りに加え、木質フローリング特有の、湿気を好むカビやシロアリといった問題にも一般的には強いとされ、まさに床材にまつわる梅雨のトラブル解消には持ってこいと言えるでしょう。
こうした床材を施工するうえで注意しなくてはいけないのは、床材そのものの伸縮ではなく、床材の下にひいてある古い下床にカビが生えるなどの問題であるため、下床のコンディションを整えてから施工する必要があります(例えば、一軒家の一階のように、地面からの湿気が恒常的に立ち上るような環境では、下床の上への重ね張りを推奨しない、等)。
SPCフロア
塩ビ由来の素材に石灰石を混ぜ込んで強固にしたSPCフロアは、床自体の湿気による膨張・収縮や、白アリの被害を防ぐことができます。塩ビフロアやセラミックタイル同様、木質系のフローリングが苦手とする多湿環境下、水回り、商業施設などへの施工を得意とし、デザインとしても木質柄、石目柄など豊富な数が備わっています。
木質フローリングと比較するとやや熱伝導率が高いものの、一般家庭であっても問題なく使用されるケースが多いと言えます。居住用・商業用と双方に施工可能かつ、防湿と耐久性を具有したオールラウンダーの床材素材として注目を浴びています。
塩ビフロア
樹脂を素材として持つ塩ビフロアは、湿気による膨張・収縮の影響を受けることはありません。値段もお手頃なため、家庭内の水回りや商業施設など広く用いられることが多く、湿気対策を講じる上で人気の高い床材の一つと言えるでしょう。
一方で、熱や直射日光には弱く、伸縮が起きやすいため注意が必要となります。また、素材やスペックによっては耐久性に乏しく、土足や重い家具の使用などに耐えられないこともあります。
セラミックタイル
耐久性と耐水性に優れた床材の代名詞として長く知られるセラミックフロアは、陶器をその素材とすることから、湿度による膨張・収縮の影響を受けることがありません。それゆえ、湿度の高いような室内環境のみならず、水洗いを常とするような商業施設やキッチンなどの水回りでも広く用いられています。
もっとも、その素材ゆえの短所として固いことと、そして熱伝導率が高いため、特に家庭内で使用する場合は冬の冷たさが気になるといった欠点を持ちます。また、施工が大掛かりになることから、家庭内で施工するにはハードルが高い点もデメリットとして挙げられます。
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