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2022.8.2
節の多い床材デザインがインテリアに与える影響
監修
インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー亀田彩夏
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
かつて日本の建築界では、節の多い木材は、家具やフローリングに使用する木材の中でもグレードの低いものとして好まれない傾向にありました。一方で、最近では「カントリースタイル」のような自然のままの素材を使用するインテリアトレンドの需要の高まりに伴い、むしろ「自然を感じる」「飽きがこない」という理由であえて節の多い、不揃いな木目を好んでインテリアに使用するケースが増えています。
今回は、主に最近トレンドの「節の多いデザイン柄」のフローリングがインテリアに与える影響と合わせ方について解説をおこないます。
節の有り無し ー インテリアに与える影響
上述の通り「節あり」の木質内装材が我が国の建築業界で「安っぽいグレード」と見なされていたのは、以下のような点に起因していました。
- 強度の問題(抜け節と呼ばれるような穴の開いた内装材は、強度を低める)
- 需要供給バランスの問題(節無し材の育林には、定期的な枝打ちとコストがかかり全体の供給量が少ない)
- 見てくれの問題(統一性がない、高級感がない)
例えば、森林計画学会発表の「長野県製材業者における材質への評価特性」の中では、節の有り無しが製材業者の購買に与える影響について調査を行っており、死に節有のスギ・ヒノキに関しては8割近い業者が「極力購入を避ける」または「購入しない」と回答しています。
もっとも、この節に関するネガティブなイメージは日本以外の国でも同じような状況で、特に中国や、中国文化を踏襲するシンガポールなどでは業者だけでなく家主もこぞって節ありを避ける傾向にあります。
こうした「節あり」問題に対応すべく、内装材、木質フローリング材に関わる業界は様々な試行錯誤を凝らしてきました。例えば「死節・抜け節の補修技術向上」「節を覆い隠すようなデザインの開発」といったものが挙げられるでしょう。一方で、こうした工夫を施してもなお、「節を安っぽいもの」と見なす前提条件からの脱却には至らず、苦肉の策的な部分はありました。
しかし、そもそも「節」とは何なのでしょうか?木材に備わった節とは、幹の成長過程で吸収された枝の一部であり、決して「不自然なもの」「病的なもの」などではない点に注意しなくてはいけません。捉え方によっては、節ありの内装材というものは、人間の手が加わっていない「自然を感じることができる」素材なのです。
林業に関わる人口が減り、木材の需要・供給バランスが偏りを見せ始めている以上、ある種限られた種類の木材を市場は享受しなくてはいけない必要がでてきました。そんな中、上述のような「自然素材」的な発想と組み合わせ、節ありの木材をむしろポジティブなイメージでもって捉え直すトレンドが高まりつつあります。
こうした「節あり内装材」の需要が高まるとともに、今度は非木質系の内装材メーカーが、「節」は自然っぽさを見せるためのシンボルという捉えられ方をし始め、そのデザインポートフォリオの中に組み込まれていきました。パラドー社のベストセラー商品であるOak Memory Naturalも、独特の節や異形模様といった自然のオーク材の持つ表情を忠実に表現したものです。
木目模様の与えるイメージに関しては、日本では京都大学が先行研究に詳しく、彩度、明度、節の有り無しなどに関しては以下のような図でもって人々に与えるイメージを表現しています。
節ありの床とインテリア
「自然な」「素朴な」「ワイルドな」といった言葉でもって表現される「節あり」フローリングデザインで、上述の通り最近の「自然スタイル」「カントリースタイル」のようなインテリアデザインと調和を醸します。観葉植物、石や陶器のような自然素材は特に節ありの床材に映えるでしょう。
欧米では節ありの内装材は、自然の証としてすでにひと昔前から受け入れられており、こうした節ありの素材を活かしたデザインに関して、インスタグラムやPintestなどで頻繁に情報交換がされています。
*Okawa Parador (取り寄せ品)
節ありで、特にアクセントの強い床材の場合、自身の主張力が強いため、家具や内装には注意が必要です。インパクト強めな床材デザインの場合、背景となる壁やインテリアには、控えめなデザインを採用すると合わせやすいでしょう。
節なし床のインテリア
「感じの良い」「上品な」「落ち着きのある」「すっきりとした」といった言葉で表される節無し・節の少ない床材デザインは、全体的に洗練された印象を見るものに与えるため、ミニマリスト的(スカンジナビア風)なインテリア、あるいはホテルの一室や書斎のように静けさや落ち着きを醸したい空間に使用されることが多いです。
また、自身を強調しすぎず、周囲の家具・内装を引き立たせる効果を持つため、紅一点のアクセントや高級家具の引き立て役としてオールラウンドな働きをするでしょう。
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