カタログダウンロード
下記項目にご入力のうえ、送信ください
2023.11.14
海外で人気の床材カテゴリベスト10
監修
インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー/キッチンスペシャリスト猿渡 奈央
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
どの床材がその国で用いられているかは、気候条件や文化が影響してくると言えます。高温多湿環境、洪水の多い環境、エコに配慮をおこなう国・・・それぞれの国に応じて用いられる床材の種類はまちまちと言えるでしょう。
その中でも、ある程度海外の床材のマーケットシェアは特定のカテゴリに偏っていると言えます。今回は、日本以外の海外で人気の8床材カテゴリに焦点を当てて解説をおこなっていきます。
目次
塩ビ床
海外の床材の中でも主要カテゴリとして知られているのが塩ビ床材です。塩ビ床材は、ビニルを構造材に持つ非木質の床材の総称で、フロアタイル、LVTタイル、PVC、SPCなどが包括されています。
LVT
Luxury Vinyl Flooringの略称です。ポリ塩化ビニルを主成分とする床材で、2㎜厚の薄いもの(接着工法)から6㎜を越えるもの(クリック工法)までカテゴリは多岐に渡ります。後述するSPCに比べ耐久性と耐熱性に劣り、ここ数年でシェアを逆転されましたが、塩ビマーケットの中ではいまだに主力製品のプレゼンスを持ちます。
価格帯に関してはメーカーやスペックによって異なりますが、5000円/m2~10000円/m2辺りがベンチマークとなります。
長所:
- 防水性に優れる
- 木質床材に比べメンテナンスがしやすい
- 木質床材に比べ価格が安い
短所:
- 耐熱性に弱みを持つことが多い
SPC
Stone Plastic Compositeの略称です。石灰石とポリ塩化ビニルを混合成分とする床材で、一般的には5~6㎜の厚手のものをクリック施工する方法となります。多湿環境のスカンジナビア半島や、土足文化の欧米などを中心に人気が拡大し、長年主流だったLVTに代わって塩ビ床材の主力製品の座を奪い取りました。
LVT同様、価格帯に関してはメーカーやスペックによって異なりますが、5000円/m2~10000円/m2辺りがベンチマークとなります。
長所:
- 防水性に優れる
- 木質床材に比べメンテナンスがしやすい
- 木質床材に比べ価格が安い
- 耐久性が優れている
- LVTに比べ耐熱性が優れる
短所:
- 肌触りが固い
オレフィン床
床材カテゴリの中では比較的新しい部類ですが、昨今のSDGsやエコ関連の時流にのって、ドイツなど先進国ではリサイクルが容易で可塑剤を含まないオレフィン床の使用が好まれるようになってきています。
Parador社産のオレフィン床「Modular One Hydron」はそうした環境大国ドイツから日本に持ち込まれた数少ない床材の一つで、その意匠性の高さからホテルなどで人気を博しています。
長所
- 防水性に優れる
- 施工が容易でリサイクル可能
- 人体に害のない素材で製造されていることが多い
- 環境に優しい
短所
- 値段が高いことがある
無垢フローリング
無垢フローリングと後述する複合フローリングの違いは、ベニヤなど複数の板を合わせて床を構成しているのか、それとも一枚物の床材を使用しているのかの点に集約できます。無垢フローリングは一枚一枚の床材が本物の木から切り出したもので、接着剤などで接ぎ木されていない状態です。
重厚な木材の香りと雰囲気を味わうための最良の選択肢ともいえ、高級な空間、空気環境や湿度等、など健康に気を遣うような部屋に使用されることが多いと言えるでしょう。
価格帯に関しては樹種によって異なり、高級なカリンやウォールナットなどでは価格が2~3万円/m2といったこともあります。パインやブナなどの針葉樹はそれらと比べると割安で、1万円/m2を切るような価格帯も散見しますが、他の床材カテゴリと比較すると全体的に高めと言えるでしょう。
長所:
- 木材素材の持つ自然の調湿効果によって湿度環境が一定に保たれる
- 木の肌触りや木目は人体に良い影響を与えると言われる
- 熱伝導率が低いため、夏の暑さや冬の冷たさを感じにくい
短所:
- 防水性が弱く、こぼし水や湿気によって床鳴りや突き上げの原因となりえる
- 土足や砂によって摩耗しやすい
- メンテナンスが難しい
- 他の床材と比較すると割高であることが多い
- 施工難易度が高い
複合フローリング
国によって、複合フローリングの構成は異なります。高温多湿環境に対応するため、薄いベニヤを複数の層に重ねる東アジアのような構造もあれば、欧米のように厚手の突板を持つ3層フローリングを採用している地域もあります。
施工方法として、日本のように釘と接着剤を使用する国と地域もあれば(スカンジナビア半島や東アジアのような多湿環境)、リノベ向きとしてクリック施工をおこなうところもあります。
一枚板を使うのではなく、安価なベニヤを間に取り入れることのメリットとしては、上述の無垢フローリングよりも価格が安く、寸法が安定しやすいという理由で、木質フローリングの中ではマジョリティとして世界中で用いられています。
価格帯に関しては、突板なのかシートなのか、突板だとしたら樹種は何なのか、特殊な防水加工などが施されているのか、などの要因によって左右されますが、5000円/m2~15000円/m2くらいのエンド価格で設定されていることが多いでしょう。
長所:
- 木材素材の持つ自然の調湿効果によって湿度環境が一定に保たれる
- 木の肌触りや木目は人体に良い影響を与えると言われる
- 熱伝導率が低いため、夏の暑さや冬の冷たさを感じにくい
短所:
- 防水性が弱く、こぼし水や湿気によって床鳴りや突き上げの原因となりえる
- 施工難易度が高い
クッションフロア床(Linoleum Flooring)
DIYで既存の床の上に気軽に張れる床材としてはクッションフロアが代表的なもので、その事情は海外でも同じです。ホームセンターなどで購入し、はさみでカットして自分で施工、1~2年程度で取り換えるという方法が用いられます。
価格帯に関しては、1000円~1500円/m2と、他の床材カテゴリと比較しても群を抜いて安価ですが、恒常的に用いるというよりは、賃貸物件などで下床を傷めないように短期間使用し、時期が来たら張り替えるような用い方がなされます。
長所:
- 数ある床材カテゴリの中でも最安価の部類にカテゴライズされる
- 施工が簡単で、既存の床の上に貼ることができる
短所:
- あまり高級感を醸すことはない
- 耐久性が弱く、長期的に用いる用途には向いていない
カーペット
カーペット床材には用い方が二つあり、一つは既存の床の上にラグのように敷いて用いるパターン。もう一つは下床に釘などを用いて固定するパターンです。施工が簡単なのは前者ですが、強度などを考えると後者のほうが実用的であると言えます。
価格帯に関しては、スペックやデザイン、ブランドによって大きく異なり、安価なものでは1000円から、高級帯となると10000円/m2近いものも存在します。
長所:
- 防音性に優れる
- クッション性を持ち、お年寄りや子供にも優しい
短所:
- 掃除・メンテナンスがしづらい
- 家具などの跡が残りやすい
タイル
高耐久床材の代名詞と呼べるタイル床は、エクステリアからデパート、空港、カフェなど土足が多く用いられるハイトラフィックエリアに使用されがちです。また、中東や東南アジアなど高温多湿で、高水などの恐れのある過酷な気候条件を持つ国々の室内でも用いられることが少なくありません。
価格帯に関しては、こちらもブランドやデザインによりけりですが、安いものでは500円/m2辺りから購入可能です。施工の手間はかかりますが、素材が安いので国や地域によっては自分で施工することも少なくありません。
長所:
- 防音性に優れる
- クッション性を持ち、お年寄りや子供にも優しい
短所:
- 掃除・メンテナンスがしづらい
- 家具などの跡が残りやすい
ラバーフロア
ゴム式の床材で、一般家屋というよりも老人ホームや体育館、病院のように、転倒時のリスクを防ぐ目的で施工されることが多いと言えます。
価格帯に関しては2000円/m2~5000円/m2辺りがベンチマークと言えます。
長所:
- 転倒時のリスクを防ぐ
- 特殊な化学薬品などに耐性を持つモノが多い
短所:
- 用途が限定的である
ラミネートフロア
表面にラミネート加工の施され、構造材にはHDFを用いた木材由来の床材です。安価でありながら耐久性に優れるということで、世界各国の土足文化の国で用いられてきました。ラミネート加工の下にプリントシートを用いるので、様々な柄やデザインが再現可能という特徴を持ちます。
施工の際はクリック式を用いるため、電ノコさえあればDIYで自分で施工することが可能です。
価格帯に関しては、安いものでは1000円/m2~5000円/m2程度で購入可能です。
長所:
- 安価で耐久性に優れる
- デザインが豊富
短所:
- HDFに接着剤など化学品を多く含む
- 湿度に弱く、突き上げの原因となる
PICKUP STORY