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2023.10.24
耐水性の強い床材の特徴と選び方
監修
インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー/キッチンスペシャリスト猿渡 奈央
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
床材選びの際、耐久性や値段と並んで重要な要素として考えられているのが「耐水性」です。一般家庭であれば水回りやトイレ、商業施設であればレストランやカフェ等、日常的に「水気」に晒されるような場面ではこの耐水性に優れた床材を選択する必要があります。
もっともこの「耐水性」という概念ですが、単に床材そのものが水に強い、というだけではないことをご存じでしょうか?今回は、3つのポイントから「耐水性」を取り上げ、それらを満たす床材カテゴリに関して解説をおこなっていきます。
床材の耐水性とは
建材の実用性を比較するのに使用されがちな「耐水性の強い」という用語ですが、実際に耐水性は多種多様な意味を含みます。一口に耐水性といっても、以下のように区分分けできるでしょう。
- 床材それ自体が水や湿気によって破損や故障などを生じないこと
- 水や湿気によって床材自体が変化すること
- 床材の下に水が浸透しないこと
一つ目、床材それ自体が水や湿気によって問題を生じないかどうかは耐水性を論じる際の大きなポイントになると言えます。例えば、長期間水に晒されたことによって溶ける、腐る、など製品自体に目に見える大きな影響を与える場合、耐水性に乏しい製品と言えるでしょう。この意味で、機械製品とは違い、水に濡れたからといって即座に使用不可能になるような床材はあまり考えにくいと言えます。
二つ目のポイントは、床材それ自体が破損するというより、水や湿気によって膨張など変化が起き、収めやデザインに悪影響を与えるか否かです。この意味では、無垢フローリングや複合フローリング、ラミネートフロア(HDF素材)など、木質系の床材は基本的に水や湿気を吸収・膨張してしまう性質があるため、耐水性が薄いと言えます。特に、夏場の多湿環境においては、床材の膨張から突き上げトラブルに繋がることが少なくありません。
さて、三つ目のポイントは、床材そのものはどんなに水に晒されても変化や腐食を生じないが、床下に水が浸透しカビなどを生じる原因となるか否かです。例えば、塩ビ系のフロアは基本的に100%の耐水性を謳い文句にしていますが、施工時にフローティング工法を取り入れる場合、クリック部分に隙間があるようですと中に水が浸透してトラブルの原因となります。
木質フローリング | ラミネートフロア | カーペット | セラミックタイル | LVTタイル | SPCフロア | |
水に濡れても壊れない | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
水に濡れて膨張しない | ✖ | ✖ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
水が下に浸透しない | △ | △ | △ | 〇 | 〇 | メーカーによる |
この3つの条件を満たして初めて「耐水性100%」ということができると言えます。さて、それではどんな床材がこの「耐水性のある床材」に当てはまるのでしょうか?それぞれの床材カテゴリについて詳細に見ていきましょう。
木質フローリング・ラミネートフロア
木質系のフローリングやHDFを基材とするラミネートフロアは、基盤部分に木材を含むため、素材自体が耐水性ではありません。精密機械のように水に濡れたからと言って直接壊れる、破損するというわけではありませんが、木材の性質上水や湿気によって膨張がおこり、それによって床の突き上げを招きます。隣り合う床同士が膨張し合うことで、クリアランスを取っていない場合フローリングの破損の原因にも繋がります。
表面部分には水をはじくような加工や、シートが使われていることが多いため、床下への水の浸透を防ぐような作りにはなっていますが、100%とは言えません。全体的に見て、他の床材カテゴリと比べて「耐水性の低い」と言われてしまう所以でしょう。
セラミックタイル
デパートや駅構内のような濡れた土足から、浴室のような日常的に水に濡れることを想定された場所での使用が前提とされるセラミックタイル、100%防水の代名詞ともいえる床材の一つです。床材そのものはセラミックであることから水を浸透させず、加えてタイル同士が隙間なく接着されているので、下床への水や汚れの浸透を防ぎます。
耐水性および耐久性に優れたセラミックタイルですが、下準備や施工に手間を要し、また一度施工してしまうと解体が困難という弱点を持ちます。
クッションフロア
素材自体は耐水性に優れると言われることが多いクッションフロアですが、施工上の問題から床下への水の浸透を防ぐことが難しく、水回りなどに用いると下床にカビなどを発生させる原因となります。特に、施工が簡単なことからDIYで水回りに簡易に使用されることも少なくありませんが、場合によっては適切ではないこともあるので注意しましょう。
LVTタイル
下床への直接の接着によって施工をおこなうLVTタイルですが、こちらもセラミックタイル同様、素材自体が100%耐水性のうえ接着施工をおこなうことで下床に水が浸透せず、上記三点の「耐水性」の条件を満たす床材の一つとなります。
SPCフロア
LVTタイルに石灰石を混ぜ込んで作られたSPCフロアで、LVTフロア同様に床材そのものは100%の耐水性を誇ります。また、欧米製のものはクリックシステムを採用しています。クリックシステムとは、床材に直接接着剤などで施工しないため、あとから解体や取り外しが容易に行えるというものです。
Parador社製のSPCフロアは、このクリック部分を介して水が床下に浸透しないような独自の構造を保っていますが、メーカーによっては床下に水が浸透しやすい作りの製品も有り、注意が必要です。
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