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2024.12.24
重ね張り床材の天敵!不陸ってなに?
監修
インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー亀田彩夏
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
かつては床材のリフォームと言えば数日がかりの大掛かりな工事になりがちでした。施工そのものは勿論、下床のコンディションを整える作業が重労働で、このために床材の施工そのものよりも時間を割くことがあります。
そんな中、既存の床材の上に床を上から施工できる「重ね張り」は工数と工賃を削減する上で非常に有用な選択肢の一つです。
もっとも、この「重ね張り」、どんなところにも施工できるというわけではなく、下床に「不陸」がある場合は施工できません。本稿では、この重ね張りの天敵である「下床の不陸」について解説をおこなっていきます。
目次
不陸とは
特に古い床をはがした際の残りが下床のコンクリートに付着したり、ひび割れや凹凸、傾斜が生じてしまっている状態のことです。通常、下床の上に床を貼る「重ね張り」をする場合清潔で平坦な下床の上に施工することが前提条件となるため、このような不陸の発生している下床への重ね張り施工は推奨されません。
不陸の見分け方
下床の不陸レベルが問題ないかどうかを確かめるには、いくつかの方法があります。
一つ目のやり方には、目視で不陸を確認する方法で、明らかに不陸が見て分かる場合はこの方法をとります。例えば、以下の下床の場合ひび割れが明確ですね。
もっとも、不陸は目に見えるだけではありません。目に見えないまま下床自体が傾斜している場合、一見問題の無い下床に施工しているつもりでも、最初の列と最後の列とで確度がバラバラになってしまうこともあります。こうした不陸を確かめるにはレーザーを用いることになります。
不陸が発生してしまったら
目視、またはレーザーで不陸の発生が明らかになった場合、不陸を整えなくては上に施工する床材の安定性に関わります。不陸レベルがどの程度かに応じて、異なる作業をとります。
1.接着物など少量の不陸の場合
ヘラやケレン等を用いて接着物を除去する作業をおこないます。施工そのものより、こうした接着物の撤去に数時間を要することもあるので注意が必要です。
2.大きなひび割れなど凹凸
不陸が単なる接着物ではなく、広範囲に及ぶひび割れや凹凸である場合、パテやセルフレベリング材などを用いて表面を水平にします。
3.広範な不陸の場合
大規模な傾斜など、もはやパテやセルフレベリング材などで対処できないような場合、根太を用いて新たに下床を設置する方法もあります。この場合、さらに工数と工賃がかかることになるので注意が必要です。
作業をなくして不陸の上に施工したい場合は?
不陸の上への重ね張りは、床材の安定さを欠いて施工不良に繋がります。一方で、1m辺り3mm以下程度の不陸であればクッション性のアンダーレイヤーを準備することである程度ならすことが可能です。
アンダーレイヤーの準備が難しい場合、バックレイヤーにクッションを実装したSPCフローリングなどを施工することでカバーされます。
SPCフローリングとは、塩ビ床に石灰石を混ぜて耐久性と耐熱性を強化した床材のことで、大手メーカーを中心に日本でも市場が拡大している床材です。このSPCフローリングは欧米のリノベーション需要に対応するため、最下層に予め不陸をカバーするための防音性のバックレイヤーを実装していることが特徴で、重ね張りに適していると言えるでしょう。
そんな重ね張りに最適なSPCフローリングですが、下床が極度に湿った箇所(下床と、重ね張りした床の間でカビが発生するため)、3mm以上の不陸が認められる場合、などの下床コンディションの上への施工は推奨されていません。あくまで、小さな不陸程度であればバックレイヤーによってカバーされるという捉え方になります。
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