事業者向け

2023.10.19

接着剤・釘を使わないドイツのパラドー社床材の特徴

監修

インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー/キッチンスペシャリスト猿渡 奈央

海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。

欧米で主流の床材の施工方法は「フローティング工法」で、ドイツの大手床材メーカーパラドー社の製品もこの手法を床材製品に取り入れています。そのため、接着剤や釘を用いることなく床材の施工が可能です。

日本ではあまり耳馴染のない方法かもしれませんが、将来的なリフォームや解体を前提として施工されることの多いリノベ市場において特に効果を発揮しています。果たしてどのような特徴、メリットやデメリットを持つのでしょうか。

接着剤・釘を使わないフローティング工法とは

欧米のFloating Installationの訳語として「フローティング工法」または「浮き床工法」などが用いられています。日本ではメジャーではない施工方法なので、インターネットなどで検索をかけてもヒットしにくいかも知れません。また、元々日本に存在していた工法ではないため、業者などによって語義の解釈が異なるケースもあります。本記事では、あくまで欧米で一般に用いられている「Floating Installation」をベースに解説をおこなっていきます。

そもそも、塩ビタイル、またはフローリングを施工するときに日本で一般的な施工方法としては、以下の通り捨て貼り、根太張り、直張り工法などが挙げられます。

捨て貼り・・・

下地の上に根太を張り、その上にさらに合板などを張って、さらにその上にフローリングなどを釘やノリなどで施工する方法。下地床が平らになることで、安定性を確保させることができます。一方で、一から根太を組む作業が加わること、床の高さが大きくあがってしまうことなどがデメリットとして挙げられます。

根太張り・・

捨て貼り工法と似ていますが、合板を介さず、根太の上に直接フローリングを施工する方法です。合板が無い、素の根太の上に床材を施工することとなるため、強度の高い根太用のフローリングしか施工することができません。

直張り・・・

上記のように根太を組む手間をかけず、既にある下床の上に直接接着剤で施工する方法です。その分費用的にも安く済みますが、床材の種類によっては不陸を拾ってしまったり、安定しないことになるなどのデメリットも生じます。

さて、上記のような施工方法が日本でオーソドックスなのは、日本の床材がノリ・釘を使用することを前提とした施工方法であることに由来しています。フローリングのように安定が要求される床材の場合、接着剤だけでなく釘をもちいて下床に打ち付ける必要があるので、面倒なようでもこのような手の込んだ準備が必要になるというわけです。

一方で、欧米の床材はノリ・釘を使用せずに施工することを前提としています(参考: リノベ床の歴史:ドイツ製の床材はなぜリノベーション向きなのか?)。理由はいろいろありますが、その一つに欧米の住宅市場が新築ではなく中古物件の内装を変えて販売する文化であることに由来しており、床を固定してしまうことに抵抗がある点が挙げられます。そのため、床材そのものにギミックとして組み込まれた「クリックシステム」によって床材同士が頑丈に組み合い、ノリや釘などを使用せずとも施工できる仕様になっているのです。

接着剤・釘を使わない工法のメリット・デメリット

フローティング工法のメリットとしては、なんといっても上述のような込み入った下準備が不要なことが挙げられます。下地に釘で打ち付ける必要がないため、今ある床の上からでも施工することが可能で(※最も、下床は清潔であり、乾燥していて、安定していることが条件)、そのため費用と時間の節約に繋がります。

接着剤を使用する必要が無いので、接着剤やその工具の節約にも繋がります。また、接着剤の放出する有害物質などをカットできる点も大きな特徴と言えるでしょう。

そして、ノリ・釘を使用しないことの最大のメリットが、いつでも取り外しができる点です。上記のように日本の伝統的な工法(捨て貼り、根太貼り、直貼り等)の場合、床材は完全に下地床にくっついてしまうので不可逆的な施工となりますが、フローティング工法であれば好きな時に床材をはがすことが可能です。そのため、部屋のリフォームや、テナントの原状復帰などの際にも活躍できるわけです。

さて、かたやデメリットとしてはどのような点が挙げられるでしょうか?まず第一に、日本では出回っている情報が少ない事、そして施工できる技師さんが限られている点が問題として挙げられます。慣れない、または初めてフローティング工法を使用する場合、むしろ一般的な施工よりも時間がかかってしまうかもしれません。

続いて、強度の問題です。上述のような日本の伝統的な施工方法と違い、フローティング工法は自重と左右の(上下の)床材との互いの組み合わせで成り立っています。メーカー側の問題でクリック部分の強度に問題がある場合、床材がいともたやすくバラバラになってしまい、使用者側の危険にも繋がります。そのため、メーカーの出自やクオリティには注意を凝らす必要があります。

接着剤・釘を使わない工法と相性の良い床材

ドイツパラドー社のSPCフロアは、フローティング工法との相性が良い床材の一つです。元々欧米で使用されていたLVTフロアのクリック式は、熱に弱く膨張・突き上げの原因になることで問題視されていましたが、それを克服したのが石灰石を混ぜ込んで熱と衝撃への強度を高めたSPCフロアです。

特に、土足での使用が前提とされ、かつ原状復帰を求められるようなテナント物件では最大限の効果を発揮します。パラドー社のSPCフローリングのクリック部分は、ドイツの自社工場で製造され、かつ綿密なクオリティチェックをおこなわれたうえで市場に販売されており、そのクリック強度は世界最高峰とも言えるでしょう。

欧米の木質フローリング市場で主流となっている3層フローリングもクリック式を取り入れており、フローティング工法との相性が良いと言えるでしょう。大掛かりな工事を行わずとも自宅や商業物件に木質フローリングが施工できるのは大きな魅力です。ただし、接着剤や釘で固定されているわけではないため、湿度での膨張に備え壁とのクリアランスを考慮することが重要です。同様に、欧米で主流のラミネート床材を用いる際も同様の注意が必要です。

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