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2023.3.24
SPCフロアのデザインにはどのような種類がある?
監修
インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー亀田彩夏
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
高耐久、耐水、耐熱と床材の施工にあたりアドバンテージをもつSPCフロアは、2010年代の登場とともに欧米先進国で瞬く間にその市場を拡大しました。日本ではまだ扱うメーカーの少ないSPCフロアで、その多くは海外からの輸入品に依存していますが、果たしてどのようなデザインを選択することが可能なのでしょうか。
木目、石目、その他デザイン、といった3点から、日本で流通しているSPCデザインをカテゴライズし、それぞれの特徴と強みをまとめていきたいと思います。
木目調
SPCフロアの製造メーカーや地域を問わず、最もオーソドックスなデザインとして親しまれているのがこの「木目調」のデザインです。文字通り、本物の木質フローリングを模したデザインを柄として用いており、意匠性の富んだものの中には、本物と見分けがつきにくいようなものも数多く存在します。
一般的にはそのメーカーの市場で用いられている木質フローリングと似たような柄がSPCフロアの木目として採用されるケースが多く、例えばドイツに拠点を持つパラドー社においては、ドイツの国樹であるオークをモチーフにした床材が多数を占めています。他にも、アメリカや中国などでは、アッシュ柄、スプルース柄、メープル柄、パイン柄、などもメインで扱われている地域もあり、まさにメーカーによってそれぞれの得意分野が異なると言えるでしょう。
本物の木質フローリングを用いず、あえて木質を模したSPCフロアを好んで使用するにはいくつか理由があります。
まず第一に、価格面でのメリットが大きな理由として挙げられるでしょう。フローリング用の木材は、特に昨今のコロナ禍やウクライナ侵攻、キクイムシや森林火災による被害など人災・天災様々な要因の煽りを受け、傾向として価格の上昇が続いています。特に、採取できる数に限りのある節無しの高級グレードの木材(特にヨーロピアンオークやウォールナット)は、希少品のような扱われ方をするまでに至りました。こうした木質フローリングとSPCフロアを比較したとき、当社比で2~3倍の開きが生じており、木質フローリングではなく木質調のSPCフロアを選ぶ一助となっています。
第二に、SPCフロアはデザインとして秀逸であるものの、自然界には存在しないような木目を演出することに長けています。例えば、元々高貴な印象としてオークをグレーに染めたグレーオークが欧州では頻繁に用いられていましたが、こうした難しい着色であってもSPCフロアでは創出が可能となります。他にも、キャラメル風の色合い、古木のような印象など、現実の木材を加工すると途方もない時間と労力がかかるようなデザインを安定的に製造できるため、特に意匠性の求められる現場では重宝されています。
第三に、施工後の安定性が挙げられます。木質フローリングは、「生きた内装材」という呼び方もされており、木材の気泡が空気中の多すぎる湿気を吸収、あるいは放出して、室内の調湿効果を促します。この特徴は人間の体調面では長所として捉えられる一方、乾燥・多湿のたびに収縮と膨張を繰り返すことから、床鳴りや割れの原因となる、という負の側面も持っており、特定の環境下ではしばしば突き上げのようなトラブルの原因になります。
すなわち、飛沫が床にかかりやすいキッチンやトイレなど水回り、高温多湿環境、または商業施設など頻繁に水掃除をおこなう環境、などでは木質フローリングは不向きであると言われています。こうした施工上の理由から、木質フローリングそっくりの見た目をもつSPCフロアを選択する施主も少なくありません。
石目調
木目調のSPCフロアと並んで用いられやすいのが、大理石や花崗岩など、石目を模したSPCフロアのデザインです。石目調SPCフロアのデザインもメーカーや原産地によりますが、大理石、コンクリート、花崗岩、セラミック、といった、石材として床に用いられてきた床材が一般的にはSPCフロアにも援用されています。
また、特定の石材をモチーフにして、自然界には存在しない、あるいは採取が困難なデザインや色をラインナップに加えているメーカーも存在します。こうした斬新な絵模様は、インテリアデザインの選択肢を増やすことに寄与しています。
そもそも一般的に、石やセラミックの床材は、商業施設、ホテルのエントランスなど、土足かつ多くの人々の高負荷に晒される場面に用いられる傾向にありました。一方で、石材の種類によっては希少・高価であり、安定供給しづらいという難点を抱えていました。加えて、一旦施工してしまうと解体することが難しく、原状復帰が求められる商業施設などではどうしても使いづらい素材として扱われてきたわけです。
SPCフロアはクリックシステムというノリや釘を用いない施工方法であることから、施工・解体が容易におこなえます。このことから、商業施設など施工性が理由で石材を使うことを諦めざるを得なかった現場で、石目調のSPCフロアが広く用いられるようになっています。
その他特殊なデザイン
木目や石目といった、今まで主流だった床材デザイン以外にも、SPCフロアという特性を生かし、自然界には存在しない斬新な床材も登場しています。特にデザイン力を強みとするドイツパラドー社では、国際的に有名なデザイナーとの協業の元、数々の話題性十分な床材の制作に乗り出しています。
次世代の床材として話題をさらうSPCフロアですが、このように描かれるデザインもまさに既存のインテリアの枠組みを超え、次世代の方向にかじ取りを進めていくのではないでしょうか。
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