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    2022.4.20

    世界的な木材不足の生み出した最新床材トレンド

    監修

    インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー亀田彩夏

    海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。

    コロナ・パンデミックによって起因した2021年の木材不足はウッドショックと呼ばれ、日本ならびに世界の建築業界に深刻な影響を与えました。その混乱に追い打ちをかけるように、2022年にはロシア・ウクライナ間の戦争が勃発、世界の製材市場の中で主要な役割を担うロシア木材が「紛争木材」認定されてしまったことから、市場にはさらなる混乱が予想されています。

    今まで身近で手に入る材料として親しまれてきた木材は、新興国の需要増などで今や国同士の奪い合いの対象資源と化すようになっています。こうした、グローバル市場動向の変化に伴い、フローリングの世界にも変化が訪れています。今回のテーマは、木材不足とフローリング材市場の展望です。

    世界の木材資源の需要・供給バランス

    そもそもコロナパンデミックの発生前から、すでに世界の木材市場バランスは危うい均衡の上に成り立っていました。基本的に木材の価格は、他の製品同様、需要と供給のバランスによって市場で成立するものですが、中国やブラジルのような新興国の台頭と木材需要の異常な高まりによって従来の需要・供給バランスは崩壊の兆しを見せていたのです。

    木材は、構造材や家具のように我々が普段目にする部分に使用されているだけではありません。資源を運搬するパレット、製紙産業の根幹を担うパルプ、代替エネルギーとして注目を浴びるバイオマス燃料など、我々の生活に木材由来の資源は欠かすことができません。

    そのため、基本的に各国の経済活動が活発になると、その分木材の消費量・需要量は上がることとなります。1995年と比較すると、世界全体の木材消費量は3割近く増加しました。特に、1995年以降世界の木材貿易の中で中国のプレゼンス向上は目覚ましく、世界で流通する産業用丸太の約半分は中国に流れている形になります。

    林野庁データを元に作成)

    一方で、木材の供給側はどのような事情でしょうか。木材は野菜や果物のように短期間で市場に出荷できるようにはなりません。木材の流通プロセスは層のように複雑に入り組んでおり、苗木が成熟し、製品として出荷されるまで、およそ30年~50年周期を要します。その過程で、地震や山火事、ハリケーンのような天災によって森林が消滅したり、今回の戦争のような形で製材や貯蔵庫が破壊されたり、2021年の北米の虫害のように出荷間際の木材が全滅してしまうことも考えられ、木材が確実に育ち、製品化される保証はないのです。

    ある意味、山火事やハリケーン、虫害は地球温暖化の招いた人災とも捉えられます。温暖化の影響でヨーロッパや北米のキクイムシの生息範囲が活発化し、年々虫害は深刻化しており、ハリケーンのもたらす被害は21世紀に入り爆発的に増加、年々の山火事による延焼面積も基本的に右肩あがりです。

    (Aslak Grinsted et al 2019を元に作成)

    こうした、世界的な木材需要の増加と、供給の不安定さは、コロナ以前から木材市場が内在的に抱えていた問題であり、今回はたまたまコロナ騒動やロシア・ウクライナ戦争が呼び水となり、過去に類を見ない深刻な木材不足(ウッドショック)を招くこととなりましたが、本来的に不安定さを秘めていたわけです。

    そのため、すでに先進国の床材や建材に携わるモノづくりの世界では、脱木材と安定供給可能で持続可能な新材料への移行可能性というものが探られていたわけです。

    フローリング材の未来 脱木材と代替材料の開発

    もっとも、人間の産業活動・生活に何らかの材料が必要である以上、そのために木材を使うこと自体は環境に悪い事ではありません。木材の加工に関わる使用エネルギー量は、その他原材料の半分以下、ものによっては10分の1以下です。木材は炭素を内部に閉じ込めており、燃焼させない限り二酸化炭素は外に放出されません。そのため、計画に基づいて行われさえすれば(PEFCやFSC等の認証がこれに該当)、木材を伐採・使用すること自体に害は少ないのです。

    床材に目を向けてみましょう。健康面、生活環境面でとらえても、無垢フローリングは人間にとって最良のパートナーの一つと言えるでしょう。自然の調湿効果、光の加減、ぬくもり、など、人間が本能的に求める機能をしっかりと捉えています。本来の需給バランスを世界市場が今後も保てるのであれば、木材は人間の生活にとって欠かせない存在となり続けます。

    各材料使用時における炭素放出量
    (「木材なんでも小事典」木質科学研究所資料 を元に作成)

    むしろ、欧米各国の床材メーカーが過去十数年のうちに脱木材に舵取りを始めた理由は、経済的・合理的な理由によるところが大きいでしょう。上述の通り、長い製品サイクルを要する木材は、人口増加と経済活動の活発化とともに、次第に容易に手に入る種の材料ではなくなりつつあります。コロナパンデミック下で木材価格は過去に例を見ない高騰をみせ、最大で5倍近い値を記録しました(原油価格の高騰は約1.5倍程度)。

    加えて、人々の生活動態の変化も脱木材製品の開発を促しました。キッチンや寝室が分かたれていた20世紀的な生活空間は、次第にワーク・ライフ・ブレンドといった就寝・食事・仕事を一つの部屋でおこなえるようなインテリアに様変わりを遂げ、そこに当てはめられる床材も、あらゆる生活シーンに対応できる「多機能性」が問われるようになったのです。

    住宅やマンションは、生涯一人のオーナーに所有される時代ではなく、月日を経て様々な人の手に渡ったり、リフォームが簡単におこなえることを念頭におくものとなりつつあります。

    各国床材メーカーの直近の命題が「木材よりも安定供給で、木材と同等水準の機能を持ち、木材よりも機能に優れた床材の開発」と相成ったのも、こうした複合的な背景に由来しているのです。

    新世代の床材

    ドイツの大手床材メーカー、パラドー社が目指すものもこの「木材のような新素材の床材」というコンセプトでした。人間にとって親しみやすい木材の特徴を可能な限り再現した新世代の床材、というものを独自の研究所で長年にわたり開発し続けたのです。

    2017年にドイツ市場で販売されたクンストヴェルクコレクション(ドイツ側呼称:Designboden)は、まさにこの「無垢材のような手触り・外観を新素材で」というコンセプトを顕現させたものと呼べるでしょう。元々オーク材を得意とする家具メーカーを前身ともち、長年木質フローリングの製造に心血を注ぎ、木材の扱いを自家薬籠中のものとしてきたパラドー社だからこそ為せた技とも言えます。

    木材が持ち、人工の素材が持たない特徴の一つに、「1/fゆらぎ」という概念があります。すなわち、自然が作り上げる木目のランダムパターンのことで、画一的なパターンよりも人間の脳波にリラックス効果を与えます。光学的、デザイン的な知識と技術を集約したパラドー社の研究施設は、可能な限りこの「本物の木目のようなパターンの再現」を可能にし、ゆえに世界中のデザイナー・建築家から愛される理由の一つとなっています。

    2024年にはパラドー社から新たなラインナップが日本市場に加わりました。オレフィン素材のみを用いた新世代系床材Modular Oneは、可塑剤を含まないエコな床材として欧米先進国で人気を博しています。

    独自の研究所を持つパラドー社の強みは、社会・情勢の動向に応じて絶えず先進的な技術を独自開発できることです。既存の木質フローリングへの敬意を払いつつ、新たな時代のニーズに絶えず立ち向かうため、日々新製品・新技術の開発にいそしんでいるのです。

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