床材の知識

2023.3.19

なぜ床材選びにおしゃれなデザインが必要なのか？

監修

インテリアの印象をがらりと変えてしまうにも関わらず、内装リフォームの際に何かと後手後手になってしまいがちな床材選び。特にそのデザインに関してはおしゃれなものというより、多くの選択肢の中から決めかねて、ついついオーソドックスなものを選びがちです。

さて、そんな床材のデザインですが、実際に時間と労力をかけてまでおしゃれなものを選ぶ必要はあるのでしょうか？店舗系、住宅系のそれぞれの場面において、おしゃれな床材デザインを選定することの意味合いについて解説を行いたいと思います。

店舗物件の場合

店舗物件の中でも、おしゃれなデザインよりもその他の要因が重要になってくる店舗もあれば（例：大衆食堂やコンビニなどでは床材のデザインよりも耐久性や商品価格がより争点となりやすい）、雰囲気そのものが価値を持つがゆえ、デザインの良しあし＝ビジネスの成否に直結する業態もあります。

その店の醸す雰囲気を軸として集客を要する「高級レストラン」「バー」「アパレル」「レンタルオフィス」「ホテル」のようなビジネス形態の場合、その集客とデザインに大きな関係性のあることは想像に難くないでしょう。

参考記事：【業態別】店舗系の床材に適した素材とは？

特に飲食業界に限っては、イートイン以外にもコンビニや出前、レトルト、お惣菜といった食に関する様々な代替の形態が登場してきており、ただ単に「食事」を提供する場としてではなく、雰囲気を提供する場としてのビジネスの転換が強いられています。実際に、顧客がカフェやレストランに求めるもののアンケートなどを覗いても、多くが「雰囲気」を重視していることが分かるでしょう。

視覚に飛び込んでくる情報の多くを占める「床材のデザイン」は、ベースカラーとして店そのもののデザインコンセプトをがらりと様変わりさせてしまう魔力を秘めています。単に床材のデザインの良しあしだけではなく、什器や壁紙との一体感、コンセプトをもたらすような空間づくりが集客のカギとなってくることでしょう。

床材の変化によって、無機質なホテルの一室が暖かい印象に様変わり　#6 Oak Natural

住宅物件の場合

直接集客やビジネスに関連のない一般住宅においても、デザイン選び、ひいてはインテリアに影響を及ぼす床材選びは重要です。インテリアデザインは自身の心理状態に直結しており、その家で生活する者に場合によってはポジティブな影響、あるいは逆にストレスを与えます。

有名な所では、「暖色」や「寒色」の別でしょう。オレンジや橙、赤といった暖色系のインテリアは見る者に暖かい印象を与え、青や水色といった寒色は対照的に冷ややかな印象を与えます。これらは、興奮をつかさどる交感神経、リラックスをつかさどる副交感神経とそれぞれに対応しており、暖色は食欲増進に繋がるといった例も紹介されています。

床材によるキッチンの印象の変化　#106 Oak Natural Mix Grey

バイオフィリックの観点から、自然のデザインを取り入れたインテリアづくりも無視できません。本物の木材や自然に近い素材をインテリアに使うことは勿論ですが、自然に近いデザインを用いることでもストレス軽減や仕事効率の増加につながることが研究されています。また、木材をモチーフにした床材や壁紙を用いる場合、その彩度、明度、節のありなしも見る者に影響を及ぼす点に注意が必要です。

このように、住宅物件といえど、住む者の心理に影響を与える以上、やはり床材のデザイン、ならびに周囲の調度品との調和という部分は無視できない要素になってくるわけです。

デザインとリビングルーム

日本とドイツのインテリアに対する考えの一つに、ドイツでは「インテリアは主人のアイデンティティの発現」と言われており、客人を招く機会が多いリビングルームなどは自身の美的価値観を知らしめる目的で度々ユニークなものに仕立てられます。全体の印象を決める床材は勿論のこと、寛ぎやすいソファや、大型のテレビモニターなど、公私ともにリラックスのできる空間づくりが求められています。

リビングルームの印象を変える床材　#8 Oak Studioline Sanded

勿論、自宅である以上商業施設のように集客にこだわる必要はありませんが、家の顔ともなるリビングには、客人を招いた際に恥ずかしくないよう、自信のあるインテリアデザインを誂えられると良いかも知れません。

デザインと子供部屋

欧米では「知育」という概念が盛んで、特に将来の感性を担う幼少期の過ごし方は重要視されています。学校教育だけでなく、自宅でも空間把握能力や美的感覚を磨くために積み木やレゴ、塗り絵などのおもちゃが与えられ、子供をとりまく環境、すなわち子供部屋のデザインなども親たちによって吟味されがちです。

子供の情操教育に関し「正解」はありませんが、幼少期に見聞きした出来事や感覚というものはその後一生、個性として残されていくものである以上、やはり美的センスの良い内装環境で育つことは吉とされています。木目を模した床材のデザイン一つをとっても、節の位置、色彩のバランス感覚、といった部分にも気を配ることで、将来の美的感覚にポジティブな影響を及ぼすことでしょう。

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