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    2023.3.12

    SPCフロアの施工に適した物件、適さない物件の違い

    監修

    インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー亀田彩夏

    海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。

    2010年代後半に開発されたSPCフロアは、それまで欧米で主流だったLVTフロアにとって代わり、その市場シェアを拡大し続けています。ラミネートフロアの耐水性の弱点、LVTフロアの耐熱性の弱点を克服したSPCフロアは、世界中で広く使用されている、まさにオールラウンダーの床材と言えるでしょう。

    もっとも、どんな製品にも得意・不得意の分野があり、SPCフロアにおいてもやはり「施工が推奨される場所」「されない場所」の区別は設けられている点に注意しなくてはいけません。

    今回の記事では、高耐久、耐水性SPCフロアの「施工すべきではない場所」について詳しく解説をおこなっていきます。

    SPCに適した施工現場

    上述の通り、欧米で主流のラミネートフロアとLVTフロアの弱点を克服した形で誕生したSPCフロアは、まさに「どのような場面にも施工しやすい」床材として市場に受け入れられています。その長所としては「高耐久」「施工・解体が容易」「耐水」「高耐熱」といったものが挙げられ、冬の寒さの厳しい北欧から暑さの過酷な東南アジアやアラブ諸国でも用いられています。

    店舗全般

    こうした強みを持つSPCフロアは、土足による不特定多数の使用者を想定しつつ、かつ美観にもこだわらなくてはいけない店舗物件全般、すなわち「小売店」「アパレル」「レストラン」「カフェ」「バー」などで特にその強みを発揮できると言えるでしょう。 店舗物件においては度々「原状復帰」の足枷が課せられることが少なくありませんが、クリックシステムを導入しているSPCフロアにおいては、解体・原状復帰を即座に行うことが可能です。

    また、店舗物件は土足による利用者、荷物の運搬や重い什器の設置など床に負荷がかかる現場として知られていますが、ヨーロッパの土足基準に対応しているSPCフロアであれば、長期的に美観を維持することができるといえるでしょう。

    他にも、欧米製の優れたデザインを持つSPCフロアであれば店内のインテリアとの調和を醸すこともでき、デザインを武器にした集客も可能で、まさに店舗系物件に最適の床材カテゴリとして抜群の相性を誇ります。

    カフェレストラン小売店・ショップアパレル店舗など、各業態に合わせた床材の選び方も解説しているので併せてお読みください。

    住宅一般

    店舗物件同様、住宅物件においてもSPCフロアは十分にその強みを発揮します。クリックシステムは重ね貼りを必要とするリフォーム案件や原状復帰を必要とする物件、賃貸物件などに特に好まれる傾向がありますが、その施工性だけでなく、意匠性を好む新築デザイナーズマンションや注文住宅などでも広く用いられています。

    また、耐水性、耐汚性に優れているため、住宅の中ではキッチンや脱衣所といった、フローリングが苦手とするような場面にも適用可能です。

    ドイツでブランドランクNo1のSPCフロア

    SPCに適さない施工現場

    このように、まさにオールラウンダーの働きを見せるSPCフロアですが、かといってどのような現場にも施工できるわけではない点に注意が必要です。中にはSPCフロアの施工が推奨されないような現場も存在します。一般的には、以下のような条件下ではSPCフロアの使用は好ましくないでしょう。

    • SPCフロアを変色させる薬品などを用いる現場
    • 高いクッション性をもとめる現場
    • 屋外の現場

    具体的に、どのような物件や現場ではSPCフロアの使用が好まれないのか、詳細を見ていきましょう。

    美容院

    SPCフロアや、その他LVTのような塩ビ由来の床材にとって、髪染め液や漂白剤は天敵です。床にこぼれると化学反応によって変色作用をおこし、見た目に影響をもたらすこととなります。中にはそれでもSPCや塩ビフロアを好んで用いる美容院も存在しますが、その場合は椅子の下にシートをかぶせ、床に直接髪染め液がこぼれないような工夫を施します。

    要するに、SPCフロアを施工できないことはないものの、あまり施工するメリットがない現場の例として挙げられるでしょう。

    病院

    病院においては、床材の意匠性というよりも耐薬品性能や抗菌抗・ウイルス性面で強みのある床材が好んで用いられます。美容院同様、様々な薬品を扱う病院においては、変色・変質の恐れがあるため、やはりSPCフロアや塩ビ由来の床材はあまり好ましくありません。

    病院の中でも薬品を用いないような診療所、心療内科などはその限りではありませんが、転倒リスクのあるような現場の場合クッション性の高い床材が用いられます。

    体育館

    跳ぶ、走るなどの激しい運動をおこなうような体育館では、転倒のリスクに備え、クッション性の優れた床材(木質フローリングや弾性の床材)を用いる傾向にあります。SPCフロアはこれら床材と比較すると硬く、クッション性に優れるとは言い難いため、やはり不向きでしょう。

    屋外現場

    一般的に、SPCフロアはその他フローリングカテゴリ同様、インドア環境に施工する用途で製造されています。要するに、直射日光や突風に暴露される環境への施工を想定しておらず、こうした環境下で施工した場合には変色や破損のリスクが生じます。 バルコニーやテラス、駐車場などへの施工も同様に、基本的には避けるべき場所として考慮されています。

    各業態の店舗にどの適材が適しているかは、過去の記事で詳しく取り上げていますのでご参照ください。

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