個人オーナー向け

2022.11.12

雰囲気の良い飲食店の床にドイツ製SPCフロアが適するわけとは?

監修

インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー亀田彩夏

海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。

ファーストフード、イートイン店舗、カラオケやインターネットカフェと言った食事を提供する娯楽施設に加え、昨今のコロナ禍による巣籠ごもりニーズの拡大など、令和年間における外食産業の勢力図は過渡期を迎えています。こうした苛烈な外食競争を勝ち抜くために、各社とも自社飲食店の差別化をはかり、集客やビジネスモデルの革新に力を注いでいる形です。

今回の記事では、外食業界の中でも特に、雰囲気作りをベースとして集客を図る飲食店にとって、昨今欧米先進国で急速にその市場を拡大させているSPCフロアがおススメである訳を紹介していきたいと思います。

カフェアパレル店舗小売店・ショップにおける床材の選び方も解説しているので、必要な形態にあわせてお読みください。

雰囲気の良い飲食店の床に求められるもの

コロナ禍を契機として、外食産業は昨今未曽有の転換期を迎えていると言えるでしょう。今までも、外食産業には、安価な食事を強みとするインターネットカフェや、ビジネス通りに展開する屋台、といった既存の店舗系外食産業以外の競合相手に戦いを余儀なくされていましたが、コロナ禍における外部との接触を避ける巣篭もりニーズの拡大により、出前や弁当、インスタント食品系や自炊回帰といった新たな代替要素が巷に浸透し、新たな脅威に晒されています。

もっとも、日本の人口動態の変化によって慢性的な客数の低下に喘いできた外食産業は、コロナの発生を待たずとも遅かれ早かれ業態の変化を余儀なくされたという声もあがっています。日本フードサービス協会のデータを紐解くと、2000年以降外食産業全体の客単価と売上は微増傾向にあるものの、客数は一部の年を除くと微減が続いています。

こうした背景を元に、一部の外食産業はいち早く来店客頼みの経営戦略から、デリバリーや持ち帰りにかじ取りをおこないました。特に、「食べること」自体が目的になりやすい中華料理やエスニック系の比較的安価なレンジの業態では、この形態が成功を収めつつあります。こうしたビジネスモデルへの転換に成功した飲食店/レストランでは、店内インテリアの持つ意味合いは小さくなりつつあるかもしれません。

対して、コンビニやインターネットカフェのような安価な異業種競合を相手にするとき、料理だけでなく「雰囲気」を提供できることが飲食店の強みだとする声も上がっています。リクルート社が2017年におこなったリサーチによると、メニュー・味以外の理由で飲食店をまた訪れたいと感じる人の割合は全体の84%に上り、そのうちの大多数が「雰囲気の良さ」を挙げる結果となっています。恋人やビジネスパートナー、家族の記念日などやはり大切な時間を大切な人とお祝いする場所としての飲食店の価値は、業界の変化にも関わらず不変で、ターゲットに応じた外食産業の差別化が進んでいると言えるでしょう。

リクルート社資料を元に著者作成

上述のように「食べること」「便利であること」に重点を置いたデリバリー系の活路か、「雰囲気」「特別感」といったその逆をいく雰囲気路線かで、一部の飲食店の経営方針は二極化の岐路に立たされていますが、後者のような飲食店にとってインテリアを通じた「良い雰囲気作り」はまさに経営の中心的な役割を担います。そして、そのインテリア作りの中でさらに重要な役割を担う素材が「床材」であると言えるのではないでしょうか。デザイン性、周囲の什器との調和、掃除のしやすい機能性、傷のつきにくい耐久性、と例を挙げれば枚挙にいとまがありませんが、どのような床材を飲食店に当てはめるかは、今後の経営にも大きな影響を与えてくるわけです。

さて、前置きが長くなりましたが、以下に、雰囲気を重視する飲食店/レストランの床として重要な「デザイン性」「耐水性」「耐久性」の3つの要素を満たす素材として、2010年代以降欧米先進国で急速に市場を拡大し、飲食店や店舗系の床において人気を博すSPCフロアについての紹介を行いたいと思います。

SPCフロア

SPCフロアは、塩ビフロアの次世代品として2010年以降の欧米で急速に拡大した製品カテゴリです。日本の長尺シートのように、下床に接着して施工する塩ビ床が、欧米では数十年前からクリック式で脱着可能な床材へと進化し、そこにさらに耐熱性と耐久性を加えるために形状安定性のある石灰石の混ぜられたSPCフロアが誕生したわけです。

SPC LVT比較2
詳細に関しては「【塩ビ床の歴史】SPC床材の登場で塩ビ床市場はどう変わったか」の記事を参照してください。

その祖として塩ビ由来の床材を持つことから、元来耐水性には定評があり、そこに加えて耐久性と耐熱性を備えたSPCフロアは、寒暖差や湿度差の激しい北米・北欧諸国や、湿度環境の過酷な東南アジアやアラブ諸国など、文字通り世界各地で浸透するようになりました。

SPCフロアの世界的な浸透にともない、各国の床材メーカーも自社の強みを生かしたSPCフロアの開発に余念がありません。今回の記事ではSPCフロアの中でも耐久性とデザイン性に強みを持つ、ドイツパラドー社のドイツ製SPCフロアの特徴について、なぜ飲食店への床材に適しているのか掘り下げていきたいと思います。

デザイン性

雰囲気の良い飲食店を目指すうえで欠かせないのが、内装インテリアデザインへのこだわりです。床材それ自体のデザイン性もさることながら、周囲什器との調和、飲食店のイメージやコンセプトとのマッチ、といった部分を熟考する必要があると言えるでしょう。

ドイツの古豪FCシャルケ04のファンクラブ会場に施工されたパラドー社 #1 Oak Memory natural

例えば、暖かみを与え食欲の活性化につながると言われる暖色系(オーク柄など)の床材か、清潔で落ち着きを与える寒色系の床材か、どちらのデザイン寄りに調整するのかは、まさに飲食店自体の求めるターゲット層や料理のコンセプトによると言えます。

木質家具メーカーをその出自とするパラドー社のSPCフロアは、木材の扱いに長けたドイツ人デザイナーとエンジニアの手によって製造されています。本物の木同然の見栄えを再現しているという評価を世界各国のデザイナーや建築家から得ており、ドイツの大手新聞社WELT紙が選ぶ床材ブランドランキングでも毎年のように1位に輝いています。(参考: MARKEN-CHAMPIONS Bodenbelaghersteller

高級路線の飲食店向けドイツ製最高級SPC床材

耐水性

そもそも、飲食店にSPCフロアやセラミックタイルのような耐水性の高い床を施工することがおススメされる理由はなんでしょうか?一つには、極端な湿度環境や水こぼれによる床材の突き上げのような、場合によっては実害の伴うトラブルを未然に防ぐためです。例えば木質由来のフローリングでは、気づかぬ水たまりによって床材の膨張を招くことがありますし、カーペット、床材の間に隙間があいているようなタイプの床材ですと、床下に水たまりができることなどでカビやバクテリアの温床になりかねません。

加えて、耐水性の高さはメンテナンスのしやすさにも繋がります。保健所のチェック項目にも多くあげられるように、やはり客席周りの清潔感というものは良い雰囲気の飲食店/レストランを経営する上で必須課題でしょう。そのため、定期的に掃除をしたり、床にこぼれた食事などを水拭きするためにも、水をはじく耐水性の高い床材を施工することが理に適うという訳です。

床材例:KUNSTWERK COLLECTION PLUS #505 Dolomite white

耐久性

土足での使用が基本で、椅子やテーブルの移動、台車などの使用で商業施設の中でもかなり耐久性の求められる部類に属する飲食店の床材。そのために、表面レイヤーの分厚いSPCフロアや、セラミックタイルのような素材が好まれる傾向にあります。

床材に耐久性が低い素材を使ったからと言って直接の実害に結び付くことは少ないものの、やはりひっかき傷やそこに入り込んだ汚れなどで清潔感が失われ、雰囲気を売りにする飲食店にあっては致命傷になりかねません。

ヨーロッパの基準では、商業用途(不特定多数の人間が出入りする物件)に施工される床材に関してWC31以上の取得を推奨しています(パラドー社クンストヴェルクコレクションはWC31、クンストヴェルクコレクション+はWC33を取得)。特に、客足の多くなることの見込まれる店舗物件に関しては、土足での使用を前提としたドイツ製の高耐久床材をお勧めします。

店舗の種類別に適した床材を解説している記事

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