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2022.5.15
北欧・スカンジナビア風インテリアと床材の合わせ方
監修
インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー亀田彩夏
海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。
豊かな自然とゆっくりと流れる時間。福祉大国の成功例として、あるいはワークライフバランスの優等生として、日本人から羨望の眼差しを向けられることの多い「北欧」の文化ですが、家具やフローリングを含んだインテリア分野でも、北欧風デザインは世界的な成功モデルと呼べるでしょう。日本はおろか、ドイツやフランスでも「北欧風デザイン」は人気を博しています。
「自然との調和」をコンセプトとした北欧・スカンジナビア風インテリアデザインですが、具体的に自宅などで実現する際に、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?特に床材やインテリア素材との関連から、解説をおこなっていきます。
北欧・スカンジナビア風インテリアの特徴
元々、北欧インテリアは、バウハウスのように学術機関から組織的に発生した潮流ではなく、20世紀の初頭、1930年代に北欧5ヵ国(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、アイスランド)で自然発生的に勃興したインテリアコンセプトです。
一概に「北欧インテリア」と一括りに呼ばれはしても、北欧各国にそれぞれの文化や意識の差異が存在しており、隣国ドイツの「バウハウス」の影響を色濃く受けたデンマーク・デザインやフィヨルドに代表される自然と陰影の使い方を得意とするスウェーデン・デザインなど、北欧インテリアと言えども一概にまとめられるものではないことに注意しなくてはいけません。
こうした国ごとの特徴がある一方で「自然との調和」「無駄を省いた」「光を多く取り入れた」「ミニマリズム寄りの」という、北欧インテリア全般に通じる最大公約数のような概念が、1950年代の「北欧インテリア」の展示会などでの商業的な利用を通じ、次第に浸透するようになっていきました。
上述のような用語に集約される北欧のインテリア哲学は、ある種、日本人の美意識と通底する部分があると言われています。地政学的な理由から、用いられる素材や色には違いの見られるものの、根本的な部分では「自然美」を重要視する日本人の精神と親和性を持っており、それが日本でも比較的スムーズに北欧インテリアが受け入れられている理由なのかもしれません。
【北欧インテリアの特徴】
- 自然との調和を重要視したインテリアづくり
- 流行り廃りの少ない、タイムレスなデザイン
- シンプル・機能美的
- ミニマリズム寄りの哲学
- 光を取り込み大きく見せる、全体的に大きなデザイン
こうした北欧インテリアの特徴をまとめるとすると、上記のような言葉に表されることでしょう。
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北欧・スカンジナビア風インテリアと相性の良い床材
さて、自宅に「北欧・スカンジナビア風」インテリア空間を実現させるために、素材選びは重要です。もっとも、歴史的・文化的に「北欧風」とみなされてたデザインも、日々人々の暮らしとともに変化を遂げるもので、必ずしもこれといったテンプレートが存在するわけではないことに注意が必要です。
床材の素材
北欧風インテリアデザインに登場する素材や柄は、北欧の自然や文化の影響を色濃く反映しています。渺茫たるフィヨルドの大地、白夜やオーロラに知られる過酷な自然環境に息づく美しい自然現象の数々などが、北欧人の美意識を絶えず深化させてきました。
四六時中闇に閉ざされる長く陰鬱な冬、少しでも多くの光を取り込み、室内での暮らしを退屈させずに生活に温かみをもたらすようにと、北欧の家づくりは大きな窓と木目調の室内装飾に代表されます。床材に目を向けると、明るく、大きな生活空間を視覚的にもたらすように、幅広の北欧産の針葉樹(特にパイン)をふんだんに使った、明るい木目柄のフローリングデザインが特徴的です。
部屋を大きく見せる、控えめなデザインが好まれるため、節の多い柄よりも、節を抑えたシンプルなスタイルが使用されがちです。最も、北欧人の中には「荒々しい節の多いオークのスタイル」を好む人もおり、必ずしも節無しだけが用いられるというわけではありません。
【北欧風インテリアデザインの床材の特徴】
- 明るい木目素材(パイン、明るめのオーク、アッシュなど)
- 部屋を大きく見せる幅広のサイズ
- 一般的に、節の少ないシンプルなデザインが好まれる
かつては、無垢木質フローリングを使用した「自然系の」インテリア作りが好まれていましたが、北海に面した時に乾燥、時に多湿という過酷な自然環境の中、床のあばれを抑えられるSPC床など非木質床への製品シフトが見られるようになりました。
インテリア家具との調和
上述の通り、北欧インテリアの原則は「自然との調和」「ミニマリズム」といった用語で説明されがちです。インテリアに用いられる小物や家具はそれゆえ、陶器や布、木といった自然素材のものが多く、色合いもケバケバしい人工色ではなく、どこか控えめで自然を感じられるデザインに落ち着きがちです。
家具の色合いに関して、明るい色合いの好まれるフローリングとは対照的に、視覚に温かみをもたらす暖色の木材(オークやチーク材)が好んで使用されます。20世紀初頭のバウハウスの影響を色濃く受けた隣国デンマークでは、北欧スタイルの自然素材と、バウハウスの機能美を融合させた意匠性の高い家具製品が多数登場してきました。
壁材に視点を移すと、基本的には室内を明るく広く見せるために白を基調としたデザインが一般的です。アクセントとして幾何学的なラグやペナント、写真や絵であったり、ちょっとだけカラフルな小物などを駆使したり、お部屋に余裕があれば暖炉装置を遊び心で加えてみるなどすると、より本来の意味でも北欧風インテリアに近づくでしょう。
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