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    2022.10.12

    オーク柄のSPCフロアと木質オークフローリングの比較

    監修

    インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー亀田彩夏

    海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。

    2010年後半に販売が開始されたSPCフロアは、開発後数年で世界の床材市場を席捲、その耐久性と耐水性を武器に日本でも浸透しつつあります。一方で、多くの消費者にとって素材が「SPC」であることと「木質」であることの違いや使用シーンの区別がつきづらく、それがゆえに勘違いなどに繋がる恐れも出てきています。

    今回は、ドイツ・パラドー社の目玉商品ともいえるオーク柄のSPCフロアを引き合いに、SPC素材のオークフローリングと、木質素材で製造されたオークフローリングとで、使い道や価格帯にそれぞれどのような違いがあるのか、メリット・デメリットなどに照準をあてて考察していきたいと思います。

    SPCフロアとは

    SPCフロアとは、元々耐熱性に悩むLVTフロアの次世代製品として開発された床材カテゴリの一つです。塩ビフロアに石灰石を混ぜることによって、従来のLVTフロアよりも耐久性・耐熱性に優れたスペックを実現した形となり、2010年代の販売開始以降、欧米先進国を中心にマーケットを拡大し続けています。

    SPCフロア vs. LVTフロア①
    SPC vs. LVTフロア①
    SPCフロア vs. LVTフロア②
    SPC vs. LVTフロア②

    LVT自体、元々湿度や土足に強いという触れ込みで商業施設を中心に浸透しており、そこに耐久性と耐熱性が加わったことで、床材市場における人気カテゴリの一つとなりました。日本でも2010年代後半から販売が開始され、主にクリック式を備えた輸入品が浸透しています。

    市場動向や他床材との比較など、SPCフロアの詳細に関しては「SPCフロアのメリット・デメリットを徹底解説」の記事を参照してください。

    SPC材のオーク柄を購入するメリット

    さて、このSPCフロアですが、上述の通りコアとなる素材は塩ビ及び石灰石を混ぜ合わせたものとなり、本物の木質素材を使用しているわけではありません。ドイツ・パラドー社のオークフローリングは、ドイツ原産のオーク材を高度な技術でSPCフロア上に再現し、本物と見紛うデザインを強みとしますが、デザイン以外の施工や使用に当たってどのような長所を持つものなのでしょうか?本物の木材を元に製造されたオークフローリングとの比較から、それぞれのメリット・デメリットを紐解いていきましょう。

    本物のオーク
    本物のオーク
    パラドー社SPCフロアのOak Studioline Natural
    パラドー社SPCフロアのOak Studioline Natural

    耐水性・耐湿性

    オークに限らず、本来市場に出回っている木質フローリング製品をSPCで代替する最大のメリットは、SPCの持つ耐水性にあります。理論上、SPC床それ自体の持つ耐水性は100%で(水分を吸ったときの非膨張率=耐水性と考えた際)、本物の木で構成されているフローリングと比べた際の最大の製品優位性となります。

    耐水性という観点から木質のオークフローリングの場合を見てみましょう。ほどこされている塗料や化学成分、樹種等によって異なりますが、基本的に空気中の水分を吸収する性質を持つ木質フローリングは、高温多湿の日本では「床鳴り」や「突き上げ」を度々引き起こします。仮に湿度による縦方向の膨張率が0.3%だとしても、5mのリビングであれば15㎜の伸び縮みを考慮しなくてはいけません。これによって、壁とのクリアランスを十分にとる必要性に繋がり、またこのクリアランスを取り忘れることによる施工不良の原因となるわけです。

    一方で、SPCの場合、多湿や乾燥による伸び縮みを考慮する必要がありません(※ただし、熱膨張による伸び縮みを考慮する必要があります)。この点は、通常の室内における夏の多湿や冬の乾燥状態の伸び縮みに対してだけでなく、洗面所や台所といった水回りでの利点としても働きます。

    価格優位性と供給安定性

    グレードや厚さによって異なりますが、SPCオーク床とオークの木質フローリングとの価格比較をおこなったとき、1㎡あたりの販売価格で2~3倍(Parador本社サイトを参照)の開きが生じます。特に傾向として、節の少ないオークのグレードは供給量が少なく、コロナの余波やロシアのウクライナ侵攻、温暖化による虫害の影響などによって将来的にも価格高騰、場合によっては品切れの兆しを見せています(詳細は「ヨーロッパ原産オーク床材の歴史と将来」の記事を参照ください)。

    当然、施工する面積が大きければ大きいほどこの価格差はクリティカルなテーマとなって予算に跳ね返ってきます。そのため、一般住宅などでは勿論のこと、施工する面積の大きい商業施設やカフェ・レストランなどでSPC床材が好んで用いられる傾向にあるでしょう。 また、製品供給の点でも、戦争や災害、天候や自然現象によって供給状況の左右される木質素材と比較すると、SPC由来の床材は安定的な供給体制が整えられているといっても良いでしょう。ウッドショックを期に我々日本人の木材に対する供給安定神話も崩れつつあることから、安価で安定供給可能なSPCフロアの可能性が期待されています。

    耐久性

    SPC床の3つ目の特徴として、上述の耐水性と価格安定性に加え、耐久性や形状安定性が挙げられます。ヨーロッパ規格のWC31(クンストヴェルクコレクションプラスはWC33)をクリアするパラドー社のSPCフロアは、土足や商業施設での使用にも耐えられる作りとなっており、それ以外にも厳格なドイツの耐久テスト(ローラーテスト、耐凹みテスト等)をクリアしていることで有名です。

    この点は、賃貸物件など原状復帰が重要なテーマとなるような現場で特に重宝され、長期的な視点ではランニングコストを軽減することに役立ちます。

    木質のオークフローリングを購入するメリット

    先にSPCの長所を記載しましたが、一方で木質のオークフローリングにも木材ならではの多くの長所があります。ここからは、木質のオークフローリングを施工するメリットを見てみましょう。

    室内の調湿効果

    上述の耐水性・耐湿性と対をなすテーマとなりますが、オークをはじめとする木質フローリング材は、一般的に木が本来もつ「調湿効果」を木材としても保持しています。調湿効果とは、室内環境が多湿である場合に湿度を吸収し、逆に乾燥状態にあると湿度を吐き出し、居住者にとって心地よい湿度環境を作り出す効果のことです。

    オークは、針葉樹であるスギやヒノキと比べると比重が高く、調湿効果の機能性はやや劣りますが、それでも自然素材として居住者に心地よい空間を提供することに寄与すると言えるでしょう。一方で、こうした自然の木材のもつ調湿効果が上述の「突き上げ」「床鳴り」の原因になってしまうため、この点に関してはメリットとデメリットが表裏一体と言えます。

    素足での踏み心地が良い

    やや主観的な比較となりますが、耐久性のために硬質な素材を使用したSPCと、自然の柔らかさを保持する木質のオークフローリングとでは、素足で踏んだ際の踏み心地に違いがあると言えます。商業施設やキッチンなど、靴やスリッパでの使用を前提とする場所であればあまり違いが気にならないかも知れませんが、素足での使用を前提とする寝室などではやはり後者のほうが「踏み心地が良い」という感想になるかもしれません。

    SPCと本物のオーク、どちらがオススメか

    さて、今回の記事でSPCオークと本物のオークフローリングの比較を行いましたが、結論としてどちらにも適した環境や条件、予算があり、どちらが一概に優れている床材と断言することはできないでしょう。 例えば、キッチンのような水回り、多湿環境、土足や多くの人に踏まれる環境ではSPCの持つ耐水性、耐久性は大きな武器となり、逆に床の上に寝転がったり素足での感触を楽しみたい、と言った場合ではオークの木質フローリングの方が好まれるかもしれません。

    Simple Competitive Analysis Table Brainstorm

    そのため、必ずしもどちらが悪い、どちらが良いと決めつけるではなく、家の中で施工する際も、場面に応じて使い分けるなどの柔軟性がもてたら良いのではないでしょうか。

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