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    2023.1.15

    小売店・ショップにおけるオススメ床材の特徴

    監修

    インテリアコーディネーター/窓装飾プランナー亀田彩夏

    海外の有名床材ブランドなどを取り扱うインテリア総合商社勤務。インテリアコーディネーター、窓装飾プランナーの資格を保有。

    小売店を経営される場合、商品の仕入れ、お店のレイアウト、売上の管理など様々な業務や開店準備に忙殺され、どうしても「床材」の選定は後回しになりがちではないでしょうか。実際には、お店の印象を大きく変えるデザイン上の重要性を持つほか、耐久・メンテナンスといったランニングコストに直結する問題、さらには現状復帰などテナント契約に関連するなど、小売店経営にとって重要なテーマであることを忘れてはいけません。

    今回の記事では、BtoCの小売店を対象とした、床材選びのヒント、ならびにオススメの床材紹介を行っていきたいと思います。

    カフェ喫茶店飲食店アパレル店舗における床材の選び方も解説しているので、必要な形態にあわせてお読みください。

    小売店ビジネスと床材の特徴

    一般的に、小売店とはアパレルや家具屋、ショッピングセンターやスーパー、本屋から雑貨屋まで、総じてメーカーからロットで仕入れた製品をリテール販売するBtoCの店舗形態を指します。床面積や店舗のロケーションによって、実際の人の出入り数が異なるため、一概に全ての店舗に共通の最適解が存在するというわけではありません。後述の通り、小規模でぬくもりある雰囲気を重要視したい場合は木質フローリングなどが適している場合もありますし、逆に大型でメンテナンスや耐久性を重要視、という場合ではSPCフロアやセラミックタイルが好まれるでしょう。

    (※本稿では、薬剤を扱う小売店など特殊な床材を施工する小売店を扱いません)

    お店のコンセプトに似合うデザインといった面や、耐久性やメンテナンスのしやすさといった実用的な面以外にも、例えばテナント契約であれば「原状復帰が必須」や「大きな音の出る工事が難しい」といった床材選びの選択肢の幅を狭める条件が立ちはだかることがあるのも、小売店ビジネスの特徴です。こうした点がネックになる場合、あまり大掛かりな工事を前提とする床材の施工は現実的ではなく、施工や解体が容易なものが扱いやすくなります。

    小売店・ショップの床に求められること

    • テナントの場合、原状復帰が容易であること
    • 店や製品ラインナップのコンセプトに応じたデザインが選定できること
    • 台車や多数の利用者の負荷などに耐えられる頑丈な素材であること
    • 掃除のしやすい素材であること
    Craftlinq.work様のSPCフロア施工事例:#001 Oak Memory Natural
    Craftlinq.work様のSPCフロア施工事例:#001 Oak Memory Natural

    小売店・ショップの床材に適した素材

    業態やお店のコンセプトによって異なりますが、上記の条件を満たすものとして、一般的に頑丈でメンテナンスのしやすいSPCフロアやセラミックタイル、店舗用フロアタイルのような床材が好まれます。

    木質フローリングなど、小売店のコンセプト(民芸雑貨屋等)によってはベストマッチとなる組み合わせもありますが、台車や土足などが頻繁に出入りする空間ではキズなどが気になるところです。イニシャルコストの低いクッションフロアなども、人の出入りの多い空間ではすぐに傷ついてしまいますので、やはり用途が限定的になりがちです。

    特徴オススメ小売店業態原状復帰
    セラミックタイル高耐久、メンテナンスのしやすさ床材による差別化を求めない大型スーパーやショッピングモール等原状復帰を求めない物件に適する
    フロアタイル出回っているデザイン数が多い自社コンセプトに適した床材選びがしたい小売店全般原状復帰を求めない物件に適する
    SPCフロア海外製のユニークなデザインが多い

    ノリ・釘を使用しない施工

    石灰石を混ぜ込んだ高耐久性(小規模~大規模店舗に対応)
    デザインで差別化をおこないたいアパレルや家具屋、雑貨屋などの小規模から大型までの小売店全般原状復帰必要な場合も可
    店舗の種類別に適した床材を解説している記事

    セラミックタイル

    耐久性に優れメンテナンスが容易な床材の代名詞としてセラミックタイルが挙げられます。大型スーパーやショッピングセンターのような多くの人々が行きかう小売店のみならず、飲食店やホテル、空港や駅など、多くの人が出入りする空間では何かとこのセラミックタイルを目にすることが多いのではないでしょうか。

    弱点としては、施工の際に大掛かりな接着剤の塗布を前提とすることが多く、テナント契約などでは原状復帰が難しくなる場合もあります。また、全体的に石目調のデザインが多く、デザイン面で他と差別化することが難しいという点も挙げられます。その他、素材によっては雨の日に滑りやすいため、実際には施工業者さんやデザイナーさんのアドバイスを聞いてケースバイケースで当てはめていく形式が良いでしょう。

    セラミックタイル事例

    フロアタイル(店舗用)

    塩ビタイルの名前でも知られるフロアタイルですが、その中でも表層が厚い、土足に強い、ワックスフリーでも対応可能、といった特徴があり、あるゆる種類の店舗用途に優れたフロアタイルも小売店・ショップの床材として使用されることが多いと言えます。

    日本で長年使用されている床材カテゴリの一つであることから、世の中に出回っているデザインのバリエーションはかなり豊富であると言えます。また、素材の価格的にもお手頃感が強いと言えるでしょう。一方で、素材は塩ビがメインであることから、セラミックタイルや、後述するSPCフロアほどの高耐久性が見込めない等の弱点を持ちます。

    SPCフロア

    一般的な塩ビフロアの中に石灰石を混ぜ込んで強度を高めたSPCフロアは、土足での来客が多く、かつ台車などによって店内の床に頻繁に負荷のかかる環境下で活躍する床材と言えます。

    ドイツパラドー社のSPCフロアの場合、ワックスフリーでメンテナンスが容易、クリック式で施工と解体が容易(糊・釘を用いずに施工可能)、土足や台車にも強いドイツ製の高耐久性、欧州デザイナーによって作成されたユニークで豊富なデザイン、など利点が多く、小売店やショップ形式の店舗との相性は抜群。上述のセラミックタイルとフロアタイルの良いところを組み合わせたようなソリューションと言えるかもしれません。

    お店のコンセプトにもよりますが、特定の製品を目立たせたい場合、あまり独特すぎる柄ではなく、以下のように落ち着いた、節の少ない柄の木目調、あるいは石目調のSPCフロアを選択すると購買に結び付きます。

    耐久・耐水に優れたドイツ製SPC床材

    ショップ・小売店向け木質SPCフロアデザイン例

    ショップ・小売店向け石目調SPCフロアデザイン例

    デメリットとしては、石灰石を混ぜ込んで熱に強いとは言え、塩ビ素材を内包していることから、直射日光などに長時間晒されると伸縮する弱点をフロアタイル同様に持ちます。そのため、施工の際には一般的なフロアタイル同様、直射日光に晒される面を避けるやり方が適しています。

    ドイツでブランドランキング1位の高級SPC床材

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